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穢された霊山
第三章

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「この山やとな」
「神の力もです」
「そうしたものやな」
「やれやれ、まだそんなことを考えておるか」
 医師は二人の話を聞いて悲しい目で呟く様に述べた。
「困った奴じゃ」
「ご老人、頭目はお知り合いとのことですが」
「実は幼馴染みでな」
 医師はここでその頭目のことを話した。
「何でも一番になりたい」
「それで権力もですか」
「偉い者になりたいとな」
 幼い頃からというのだ。
「ただひたすら思っていてな」
「それで、ですか」
「大人になって道を間違えてヤクザ者になったが」
「そのヤクザ者の中でもですか」
「何でもして頭になってな」
 そのヤクザ者達のというのだ。
「そしてか」
「泰山の話を聞いて」
「そしてじゃ」 
 そのうえでというのだ。
「その石をな」
「手に入れようとですね」
「しておくのじゃ」
「そんなことは」
 決してとだ、巴は医師に話した。
「ヤクザ者なぞが権力を握っては」
「いかんな」
「はい」
 まさにと言うのだった。
「その様なことは」
「では」
「そうじゃ、ここはじゃ」
 絶対にと言うのだった。
「何としてもな」
「止めないといけないですね」
「あいつが手下を連れてこの泰山に向かったと聞いてもしやと思ったが」
「その通りでしたね」
「全くじゃ」
「山賊達はかなり多いです」
 実にとだ、巴は医師に話した。
「そのことから考えますと」
「ヤクザ者としては相当な奴やな」
 呉も述べた。
「曲がりなりにひとかどの人物やった」
「そうですね」
「しかしほんまにな」
「ヤクザ者に権力を与えてはなりません」
「ヤクザはヤクザや」
「止めましょう」
 巴は呉に強い声で言った、そうして倒した山賊達の中で息がある者達からさらに聞いて頭目の隠れ家に向かった。だがそこに頭目はおらず。
 隠れ家の留守を預かっていた山賊達を倒したうえで彼等から情報を聞くと頭目は腹心達を連れて石を探して山の頂上に向かったというのだ、二人はその話を聞いてすぐに医師と共に頂上に向かったが。
 一足遅かった、柄の悪い山羊人の老人が数人の男の中で黄色く輝く丸い大きな石を手にしていた、医師はその男を見て言った。
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