第一章
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穢された霊山
巴青雲と呉沢勝は今は巴の神託で中国山東省の泰山のすぐ近くにある村にいた。そこの宿の中でだった。
巴は共にいる呉にこんなことを言った。
「さて、明日村のギルドに行って」
「そこからな」
「神託を探しますが」
「それやな、しかし泰山の近くとかな」
呉はこの場所のことを言うのだった。
「これはな」
「思いも寄りませんでしたか」
「泰山ってな」
この山についてだ、呉は神妙な顔で言った。もう晩飯も風呂も済ませているので二人共寝間着姿でくつろいでいる。
「中国においては特別な山やからな」
「そこで封禅の儀を行うと」
「中華を治める確かな皇帝ってことやからな」
「天子であると」
「そうした意味で特別な山や」
「この世界ではごく普通の霊山ですが」
「それでも私等が起きた世界ではな」
「かつてそうでした」
天子つまり皇帝が儀を行う山だったというのだ。
「ですから」
「やっぱり思い入れがあるな」
「中国人としては、特にです」
巴は呉に微笑んで話した。
「私は山東省の生まれなので」
「それで余計にやな」
「はい、その山の近くに神託があるとなると」
「余計にやな」
「思い入れがあります」
こう呉に言うのだった。
「ほんまに」
「そやな、けれど泰山で神託があったら」
「若しあの山を荒らす輩がいれば」
「それはな」
「こちらの世界でも中国では重要な霊山ですから」
「余計にな」
「許せません」
山を荒らす様な輩はというのだ。
「どうしても」
「そやな」
「まあ明日です」
「村のギルドに行ってな」
「確かめましょう、あと明日の朝ご飯ですが」
話が一段落したところでだ、巴はこちらの話もした。
「何を食べるか」
「饅頭どないや」
呉はこの食べものを提案した。
「それは」
「そうですね、悪くないですね」
巴は呉のその提案に笑って応えた。
「茶卵やお粥はどうかと考えていましたが」
「饅頭もな」
「悪くないですね」
「私は包も考えてたけどな」
ここはというのだ。
「饅頭がふと脳裏に浮かんだ」
「それで、ですね」
「言ってみたけどな」
「はい、それでは」
「饅頭や」
「それにしましょう」
こう話してだ、そしてだった。
二人は翌朝饅頭を食べた、それからお茶を飲んでギルドに向かった。するとギルドに神託と思われる依頼があったが。
その依頼を見てだ、巴は眉を顰めさせて言った。
「これは」
「昨日の夜話してたけどな」
「実際にその様な愚か者が出るとは」
「腹立つな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「この依頼は受けて」
「すぐにやな」
「はい、成敗しましょう」
「そうするか」
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