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ある晴れた日に
21部分:もう飛ぶまいこの蝶々その四
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対してまた言った。
「親友だろ?そういうのって」
「これが親友だったの」
「じゃあ何だっていうんだよ」
 さらに驚いた調子になっている未晴にまたしても言う。
「頼りにしてるんだろ?」
「ええ」
「それで頼りにされてるんだろ?」
「私頼りないけれど。それでも」
 実際彼女は咲や春華達に随分頼りにされてきた。お互い助け合ってもきた。このことは他ならぬ彼女が最もよくわかっていることであった。
「何かあれば手伝ってって」
「それで自分も手伝ってもらったりだよな」
「ええ」
「で、あれだろ?」
 にこやかに笑ってまた未晴に問うのだった。
「いつも皆で遊んで、だよな」
「少年のところのカラオケ行ったり。プリクラ撮ったり」
 高校生の女の子らしい遊びである。
「そんなのだけれど」
「じゃあそれだよ。親友だよ」
「親友ってそうなの」
「先輩に言われたんだ」
 ここで自分の先輩を話に出してきた。
「親友ってのはな。難しいものじゃないんだってな」
「難しいものじゃない」
「ああ。心と心が通い合う」
「それだけなのね」
「それで親友同士だって言われたんだよ」
 こう未晴に告げた。
「それだけでな。なるんだってな」
「そうだったの」
「意外か?」
「何か。それだけなんて」
 戸惑いがまた出て来ていた。その顔が何よりの証拠である。
「嘘みたい」
「嘘じゃないぜ」
 その戸惑う未晴に笑って告げる。
「嘘を言う先輩でもないしな」
「そう。それじゃあ」
「幸せだよ、五人もいるよな」
「うん」
 今度は素直に頷くことができた。
「咲達。皆が」
「あんな騒がしくて品のない連中だけれど五人もいてくれるじゃないか」
「咲達は下品じゃないわよ」
 未晴の今度の言葉は少し咎める感じになっていた。言うまでもなく正道に対して向けたものである。

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