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ある晴れた日に
204部分:思いも寄らぬこの喜びその三
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思いも寄らぬこの喜びその三

「それ自体はよかったさ」
「それでもだったんだね」
「やっぱり皆はそいつを認めなかった」
 語る彼のその目はさらに寂しいものになった。寂しさだけでなく哀しさも持っている目になっていた。
「誰もな。俺も」
「君も?」
「ああ。俺もそいつが努力してるとは思わなかった」
 その目で語るのだった。
「そいつがな。カンニングしていると思った」
「カンニング!?」
「当然冤罪だった」
 まず無実だと話した。
「そんなことをするような奴じゃなかった」
「けれどそれは」
「誰も信じなかった」
 今度は信じないという否定の言葉だった。
「誰も」
「そうさ、誰もな」
 語るその口が辛いものになっていた。
「俺も含めてな」
「君もって」
「皆信じなかった。クラスメイトも教師も家族も」
 つなり四面楚歌だったのだ。それがどれだけ辛いのかは言うまでもない。周りに敵しかいなく味方が誰もいないということはこの世でもっとも辛いことの一つだろう。
「それでもふとしたことで冤罪だってわかって」
「それでどうなったの?」
「そいつはそれから変わった」
 やはりその目は過去を見ていた。
「自分は昨日これだけやった。今日はこれをしたとか周りにやたら言うようになった」
「そうなってしまったんだね」
「勉強だけじゃなくスポーツも何かの活動もな。やったら絶対にそれを言い回すようになった」
「皆に?」
「また周りに信じてもらえない、認められないことが傷になったんだ」
 そういうことだった。
「それがな。それでそいつは変わった」
「悲しい話だね」
「そういう奴もいた」
 正道の話は一つの区切りに入った。
「昔な。今は別の高校にいるけれどな」
「元気でやってるかな」
「多分な」
 また語るがその目はやはり寂しいものだった。
「何でもかんでも自分がどれだけやったのか言ってばかりだった。そいつは誰にも認められないことが怖くて仕方がないようになったんだ」
「今もかな」
「それも多分な」
 目は上を見ていた。
「言っているだろうな。どんなに努力してもそれが認められないことをどうにも思わない奴もいればそいつみたいにそれが怖くて仕方ない奴もいる」
「色々ってことだね」
「けれど御前は違うんだな」
 ここまで話してやっと桐生にまた声をかけた。
「御前は黙々とやってるな」
「僕はとりあえず自分の仕事をしようって」
「自分のか」
「うん、それだけ」
 こう答える桐生だった。
「僕はね」
「それもいいんじゃないのか?」
 正道は漠然した口調になっていたが答えることは答えた。
「それでな」
「そうなんだ」
「俺は。あの時信じなかったからな」
 また過去を見ていた。
「同じだっ
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