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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン8 最速加速の大怪風
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ド」

 妖仙獣 右鎌神柱 スケール11→5

「『エンド?……なるほど、ようやく私にも読めてきましたよ。チャンピオンの手札はこれで残り1枚、そしてそれがモンスターカードの木魅であることは揺るがない事実。つまり今伏せられた2枚のカードのうち、どちらか片方は何らかの手札コストを要する罠、あるいは速攻魔法といったところでしょうか』」

 木魅は、妖仙獣の中でも珍しい特色として墓地から発動できる誘発効果を持ち合わせている。それはつまり言い換えれば、テーマ内で最も手札コストに適したカードということだ。そう考えれば、なぜ今のターンに選んだのかの説明もつく。どうやらあの伏せカード、手札を捨ててでも発動したいようなよほど強力な見返りを持つカードらしい。肝心のロベルトは沈黙を保ったままだが、代わりに風がごう、と吹いた。独眼の紅龍の全身がつむじ風に包まれて、来た時と同じように天へと昇っていく。

「ターン終了時、特殊召喚された独眼群主は手札戻る。鎌参太刀は特殊召喚された、だから手札戻らない」

 ターンの終わりごとに、手札に戻る。この特色こそが鳥居の【魔界劇団】とロベルトの【妖仙獣】の複雑な力関係を生み出す要因であり、最初に彼のデッキがそれであると知った時に微妙な反応をした理由でもある。もっともそこにはそれらしい顔して自分は相性有利などとほざいていた上司の顔を思い出したせいも、無論あるのだが。
 まず魔界劇団側の強みとしては、毎ターン手札に戻り盤面がリセットされる妖仙獣は再び展開するためにいちいちモンスター効果を発動する必要があり、それがつまりファンタスティックシアターのいい書き換え先であることを意味している。またペンデュラム全体の特色である大量展開と一斉召喚は、同じくテーマの特色であるバウンス能力に対してある程度は強く出ることができる。
 しかしだからといって一方的有利と言い切れないのが、まさにこの手札に戻る能力の存在である。切り札である魔王の降臨をはじめ魔界台本はどれも手札に逃げたカードに対しては手出しができず、団員の中にもそこに干渉できるモンスターはいない。あくまで魔界劇団は観客(あいて)がいる舞台でこそその実力を完全に発揮できるテーマであり、空っぽのフィールドが相手だと微妙にその力も空回りしてしまうのだ。
 どちらが有利で、どちらが不利なのか。きわどいバランスで成り立つ両テーマの関係は複雑怪奇そのものであり、だからこそ使い手の腕が如実に表れる。

「『それでは皆様お待たせしました、私のターン!』」

 ここで鳥居は残る魔界劇団から強力なリンクモンスターであるヘビーメタルフォーゼ・エレクトラムをリンク召喚してさらに場を整えることも、あるいはさらに高リンクのモンスターを呼び出すこともできた。しかしそれをためらわせるのが、ロベルトが伏せた
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