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遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン8 最速加速の大怪風
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トのデュエルを彼は見る余裕がなかったため、彼がどのような戦術を使うのかはわからない。だがたとえどのような戦術で来ようとも、彼は彼のデュエルでそれを迎え撃つまでだ。

「俺のターン。お前はペンデュラム、ならば俺もペンデュラム。魔法発動、妖仙獣の神颪(かみおろし)!俺のフィールドにモンスターがいない、デッキからこの2枚を直接発動。妖仙獣……出でよ右鎌神柱(ウレンシンチュウ)、応えよ左鎌神柱(サレンシンチュウ)!」
「『よ……【妖仙獣】!?』」

 驚きの声をよそに、ロベルトを挟み込むように2つのつむじ風が巻き起こる。風はそのまま天まで上る小規模な竜巻となり、その中から鳥居のものと同じ2本の光の柱が現れた。5の数字の上では、赤い鬼の面が取り付けられた右半分のみの鳥居が。そして対となる3の数字が光るその中には、青い鬼の面が張り付けられた左半分のみの鳥居が。それぞれ半身のみの鳥居が、頭上高くでその真なる姿を取り戻す。

「右鎌神柱、ペンデュラム効果。反対側に妖仙獣カード、スケールを11に変更する」

 ふたつがひとつとなり、真の力を取り戻した右鎌神柱の下で光の数字が大きく動いた。それは先ほど鳥居自身も行ったスケール変更の技、しかしその結果として完成したスケールの広さは彼の作り上げたそれを大きく上回る。
 してやられた、と心の中で歯噛みする。これではまるで先ほどのワイルド・ホープの効果がこの右鎌神柱の、ひいては使い手である彼自身がロベルトの引き立て役に徹したようなものだ、そんな思いも駆け巡る。しかしすべては手遅れであり、結局は今回に関してはこちらの負けだと潔く認めざるをえなかった。
 もっとも、まだ勝負そのものまで投げ捨てたわけではない。

 妖仙獣 右鎌神柱 スケール5→11

「効果発動ターン、妖仙獣しか無理。仔細なし、ペンデュラム召喚!」

 先ほどの比ではない大竜巻が、鬼の面持つ鳥居に挟まれる形でフィールドに2つ吹き荒れる。そして紅く輝くそれからは古傷残る独眼の紅龍が、緑がかったそれからは赤い両目が不気味に光る四つ足の妖獣が、それぞれ鳥居をくぐりフィールドに降り立った。

「逢魔が刻。妖魔の神域脅かされし時、その怒り星々さえも揺るがす大怪風となる!魔妖仙獣……吹き荒れよ独眼群主(ヒトツメノムラジ)!解き放て大刃禍是(ダイバカゼ)!」

 魔妖仙獣 独眼群主 攻2000
 魔妖仙獣 大刃禍是 攻3000

 2体もの魔妖仙獣の一斉召喚。降臨と共に巻き起こった風は会場内を所狭しと荒れ狂い、「BV」により実際のエネルギーとなったその風圧はその場に固定されていない椅子、あるいはうっかり掴む手の緩んだ観客の荷物など手につく限りあらゆるものを吹き飛ばした。
 そしてそれは、真正面でそれと対峙する鳥居にとっても例外で
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