ターン8 最速加速の大怪風
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ああぁーっ!!』」
力業でこじ開けられたフィールドに、今コロシアムで発生した中でも最大級のダメージである5000もの攻撃力が圧倒的な暴力として振り下ろされる。叫んだのは痛みからではなく、叫びでもしないとそのまま意識が消えて最悪目覚められなくなりかねないという本能的な恐怖からの防衛手段だった。
「『あ……ぐ……げほっ!げほっ!』」
ぼろ雑巾のように床に叩きつけられ、勢い余ってさらにバウンドしてまた叩きつけられる。どうにか止まったところで手をついて必死に起き上がろうとするも、手足にうまく力が入らないうえに散々吹き飛ばされたことによるカラの吐き気に脳を揺さぶられてまたしてもその場に崩れ落ちる。それでも必死になって床を這い、自身の作り出した光の柱……ペンデュラムスケールにしがみつくようにしてどうにか体を持ち上げる。
「『ぐ……ぐぎぎ……ぐ……!まだ……まだ、です……!まだ、私のライフは、尽きてはいません……!さあ、舞台を、続けましょう!』」
「……承知。鎌参太刀の効果。妖仙獣がダメージを与えた、よってデッキから妖仙獣の秘技を手札に。カードを伏せてターンエンド。そして特殊召喚された独眼群主、大刃禍是、閻魔巳裂。通常召喚された鎌参太刀、侍郎風の効果発動。すべて手札に戻る」
フィールドを埋め尽くしていた6体のモンスターが、嘘のように風と共に消えていく。今度フィールドが空になったのは、このターンに決めきることのできなかったロベルトの方だった。デュエリストならではの回復の速さでどうにかその隙に体勢を立て直した鳥居が、今にも倒れそうに膝を震わせながらも自分の足だけで再び立ち上がる。
「『いよいよ勝負も大詰め、クライマックスが近づいてまいりました。これが最後のドローとなるか、はたまた次のターンに再びあの嵐のような軍団が今度こそ私にとどめを刺すのか。もう同じ防御の手は使えません、いずれにせよこれが正真正銘のラストターンと相成りました。いまだ無傷のチャンピオンのライフをこのターンが終わるまでにすべて奪わぬ限り、私に勝ちはございません』」
言いながら、デッキトップに手をかける。そして、その言葉に嘘はない。そもそもが、結果論とはいえ今のターンを凌ぎ切れたこと自体が奇跡のようなものだ。もしロベルトがフィールドに存在したモンスターの全デッキバウンスを狙わずに1体でも攻撃表示のまま残しておいていたら、いくら防御を繋ごうとも超過ダメージで鳥居のライフは尽きていただろう。
そして彼は、それを偶然とは捉えない。むしろその小さな奇跡をこのターンに繋がる勝利への前兆と捉えているからこそ、その意識を手放すことなく力強くカードを引く。
「『それでは皆様ご覧あれ……ドローっ!』」
そして引き抜かれる、最後の一枚。そんな彼の腕の動きを会場中が
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