猫娘と最終章:さらに向こうへ
NO.110 救い上げる思い
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命を救われました」
そう言いながらもマスキュラーに切られた腕部分の服を捲ってその傷痕を見せる。
それを見て引子は顔を青くさせながらも、
「爆豪くん、その腕は……この間のヴィラン襲撃の時に……?」
「はい。そして出久に助けられてなきゃ自分はもうとうに死んでいたと思います。だから言えます。いま、落ち込んでいるだけじゃダメだって……確かにオールマイトの事を思って責任を感じて塞ぎこむのも分かります。それでも、神野区で出久はたくさんの命を救いました。だから結果論ですが、まだオールマイトも生きているし、神野区の死傷者も一人もいない……だから後ろ向きだけじゃなくて、前向きに考えてほしいんです」
「爆豪くん……」
「そして、今なら言えます。出久はきっと将来すげーヒーローになれるって」
普段素直になれない爆豪がここまではっきりと言えるのもすごいが、それを聞いていた引子もそれで爆豪のその気持ちに感銘を受けたのか涙を流しながら、
「ありがとう爆豪くん……きっと、出久もそれを聞いたら喜ぶと思うわ」
そんな時だった。
「母さん……それにかっちゃん……」
そんな、か細い声とともに出久が部屋から出てきたのだ。
少し時間を遡って出久はいまだに部屋で塞ぎこんでいる時だった。
居間の方から引子が誰かと話をしている声が聞こえて来た。
「(この声って……もしかしてかっちゃん……?)」
それで出久は悪いと思ったが、五感強化で聴覚を良くして聞いてみる事にした。
そして爆豪の自身に対する思いを聞かされて最後に『出久はきっと将来すげーヒーローになれるって』というセリフに出久は心を動かされた。
それでいつの間にか部屋を飛び出していた。
「かっちゃん……」
「出久ぅ……」
「出久……平気なのか?」
「う、ん……それよりかっちゃん……僕はまだヒーローを目指してもいいのかな……?」
「何をいまさらって感じだぜ。てめぇはそのためにわざわざ雄英にまで来たんだろうが?」
「うん……でも、迷いが生じちゃったんだ……僕は、結果的にみんなを不幸にしちゃってるんじゃないかって……、それにオールマイトも!」
「出久……」
出久は涙を流していた。
もう感情がごちゃごちゃになってどうしていいか分からないのである。
爆豪はそんな出久の心境を察したのか出久の頭に手を乗せて、
「そんなときは俺を頼れよ! 愚痴でも何でも聞いてやるからよ!」
「かっちゃん……」
「そしてどうせならクラスの連中も巻き込んじまえ。お前の頼みなら奴らは大抵は聞いてくれると思うぜ。そして泣きたい時があったらさっさと泣いて思いを吐き出しちまえ。でねーとこっちが調子狂うわ!」
「わ、わ、わ!!」
頭をゴシゴシとかき乱しながらも爆豪はそう言っ
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