猫娘と最終章:さらに向こうへ
NO.110 救い上げる思い
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爆豪勝己は必死に走っていた。
目指す場所は出久の家。
家を出る前に母・光己にこう言われた。
『いま、恐らくだけど出久ちゃんは憧れのオールマイトの引退が自分のせいだって思ってしまって塞ぎこんでると思うから……。だからここらであんたがガツンと勇気づけてやんなさい! 今のあんたならどうしてかな、あの子を任せられると思うんだよ。
前はなにかと出久ちゃんに対して喧嘩腰だった勝己だったけど、もう今はそんな雰囲気は感じないし……なにより、勝己が出久ちゃんに対して『デク』って言わなくなった代わりにちゃんと名前呼びをするようになったのが一番大きいから』
『…………』
『ほら! そんなあんらしくもなく難しい顔をしていないで、行ってきなさい!』
『……おう!』
そんなやり取りの後に家を飛び出していった爆豪を光己は子供の成長を祝うように眺めていたのであった。
そんなこともあってか、すでに爆豪は覚悟のようなものを決めていた。
「(出久、まってやがれ。いま俺が行くからよ!)」
もう爆豪はいっそのこと個性を使って加速したい気持ちをなんとか抑えて必死に駆けていく。
しばらくして緑谷家のあるマンション前まで到着した。
「(そういえば……出久の家に来るなんて、何年ぶりだろうな……)」
自分の小さい頃の過ちとは言え、こうも出久の事を貶していた過去の自分を爆破したい気持ちでいっぱいだった爆豪。
そんな事を頭の端で思いつつ、記憶を頼りに階段を昇って到着してみれば表札にはしっかりと【緑谷】という名前が書かれており、合っていてよかったと思う。
だがそこで爆豪は今更になってインターフォンを押すのを躊躇ってしまった。
それはなぜか……?
出久を前にしてしっかりと言葉を紡げることができるのか、それが気がかりで今はただただ不安でしかなかったからだ。
しかし、ここまで来て怖気づいてしまっていては送り出された光己にどう言い訳をしていいかわからない。
それにもし、もうすでに出久が立ち直っていたら、それでこそ間抜けではないか。
「(ああああ! ごちゃごちゃ考えていても埒があかねぇ! 切島じゃねーが、正面突破するしかねーか!)」
それで震える指をなんとか伸ばしてインターフォンの呼び鈴を押す。
するとすぐに中から「はーい!」という女性の声が聞こえて来た。
声の感じからして出久の母である引子の声であった。
引子がドアを開けて顔を出してきて、
「あら……もしかして、爆豪くん?」
「はい……お久しぶりです、引子おばさん……」
なんとかそうかいわをするものの、爆豪の声は少し緊張からか上ずっていた。
引子はなんとなくそれを察していながらも敢えてそこには触れずに、
「今日はどうしたの……? もしかして出久に会いに
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