四十一匹目
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貴方も懲りませんねシラヌイ」
「ゅ?」
「そのリング、コピーするんですか?」
「流石に銀が無いので無理ですお母様。僕は材料があればディアマンタイトだってつくれるけれど、鉄を銀にはできません」
僕は現代日本の知識を、科学知識を知っている。
だから僕は魔法を他者より効率良く使えるし、魔法の応用も思い付く。
でも、僕は現代科学に助けられている反面、現代科学に縛られている。
例えば無から有は作れない。
例えば原子は他の原子にならないし増えない。
だから僕は0から1を作れない。
1を2にできない。
石や岩から宝石を作れても貴金属は産み出せない。
「貴方ならその解決法もあるのでしょう?」
「代わりに全てを宝石で作ります。石はそのままでリング本体をターコイズなどの不透明な物で代用します」
「それがどれ程の価値があるか、貴方はわかっているのですか?」
ターコイズはそれほど高価な石ではないし…。
「せいぜい、この指輪と同程度では?」
「やっぱりわかってませんね。金属ではなく全て石で創ったならば、その価値はこのリングの最低でも三倍にはなりますよ」
「なぜですか? ターコイズは銀より安価ですよ?」
「例えそうだとしても、銀細工と同じ精度で鉱石を加工できたならば、材料の有無に関わらず芸術的価値などが付随します」
ふーん…そんな物なんだ……。
試しに、というか興味が沸いただけだが、ポケットに手を入れて、アイテムボックスから握った拳の中に石灰(カルシウム)、木炭(炭素)、氷(水)、その他少量の砂(硫黄等)と石英を出す。
そして、カルシウムとタンパク質の積層構造で先と同じ蔦状のリング本体を作り、周囲を無色の水晶で薄くコーティングしたうえで中央にアメシストを填める。
「ならこれは高いですよね?」
カルシウムとタンパク質。
つまりは真珠と同じ構造だ。
わざわざ水晶でコーティングしたのは、真珠は汗等で容易に溶ける(ドロドロに溶ける訳じゃないけど輝きがなくなる)からだ。
「ツェツィーリアも言っていましたが、そんな物を思い付きで作らないでください…」
やっぱり高いんだ…。
「そうですね……。材質はそう高価ではありませんが、技術的な価値を含めた工芸価値を考えれば………他国の王族へ献上すれば、多少は領地が貰える程度、と言えばわかりますか?」
「はい」
よくわかんないけど、めっちゃ高価ってことでおk?
「シラヌイ、もう少し、奥へ行きましょうか」
「はい」
今のリングは、銀とトパーズという比較的安価な物だった。
奥へ行けば、もっと高価なものもあるかもしれない。
メインの売り場はだいたい店の中央
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