九話目
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ましょう。今は、ね」
青年……否、ナイトローグの言葉に疑問を抱く事なく目の前の相手の放つ威圧感に声も出なくなってしまう。
「ふっ!」
「がっ!」
一瞬で距離を詰めたナイトローグの拳が匙の下腹部に突き刺さり、焼けた鉄を飲まされた様な痛みと嘔吐感に言葉を失う。
「この程度ですか」
黄色く輝くバイザーを通して膝をつく匙を見下ろしながら、ナイトローグは呆れた様に呟く。
先ほどまでは明らかに荒事、喧嘩とさえ無縁そうな青年だったとは思えないほどの拳。
(こ、この、野郎……。見てろ……)
油断して居るであろうナイトローグの死角から自身の神器である『黒い龍脈』を伸ばす。相手に巻きつけ力を奪う己の神器の力なら油断して居る相手になら通用するはずと、反撃の機会を伺う匙だが。
「がぁ!」
それよりも先に、ナイトローグは彼の神器ごと手を踏み砕く様に匙の手に足を踏み下ろし踏み躙る。
「油断して居ると思いましたか? 君の神器は黒い龍脈。通常のロープとしても扱え、最大の特徴は相手を拘束し力を奪うテクニックタイプの神器。現状では、ぼくに突き刺して血液でも奪えば貧血で戦闘不能にする事も出来る、格上相手にも通用する危険な武器」
神器ごと踏みにじる足に力を込めて更に言葉を続けていく。
「ある意味においては、バカ正直に正面からしか戦えない脳筋な二天龍の神器よりも強力と言えるでしょうね」
スラスラと自分の持って居る神器の事を、自分には思いつかなかった応用的な使い方も交えて話して行くナイトローグに、匙は得体の知れない不気味さを覚える。
「成長すれば赤龍帝と白龍皇の能力の一部の合わせ技の様な使い方も出来るでしょうね。今の時点ではできない事ですが」
そこまで話すと思い切り匙の腹を蹴り上げて地面に倒すと、そのまま動かない様に胸の部分を踏みつけて動きを止める。
手際の良い痛めつけ方に咳込む匙を一瞥すると、
「な、何なんだよ、お前は?」
「聞けば何でも答えてくれるとでも? ぼくは君の母親では有りませんよ。まあ、特別に答えて上げましょう」
彼の言葉にそう答えた後、『知られた所で困る事は有りませんし』と呟き、一呼吸起き、
「禍の団、改変派の一人、ナイトローグ。それ以上でも以下でも有りませんよ。今は、ね」
そう言うと何処からか時計の様なものを取り出し、それを匙へと向ける。
「本当に、君と君の主人の夢は害しかない」
「て、テメェ!」
突然のナイトローグの呟きに匙が激昂するが当のナイトローグは言葉を続けていく。
「だから、そんな百害しかない夢では無く、こ
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