第1部
ロマリア〜シャンパーニの塔
危険な盗賊退治(道中にて)
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、あれ見ろよ!」
ナギが驚いた様子で声を上げた。その視線の先には、見覚えのある青いマントと黒髪。あれってまさか……。
「ユウリ!?」
間違いない、背格好も彼にそっくりだ。残念ながら顔は見えないが、歩いている方向は確かにモンスター格闘場へと向かっている。
「あれー、ユウリちゃんも賭け事やるのかな?」
シーラの一言に、私は目を疑った。だってまさか、ユウリが賭け事なんて全く想像できないんだもの。あの後姿は他人なんじゃないかと思い込んでしまうぐらい。
「あの野郎、オレに散々文句言ったくせに、自分はのんきに賭け事だと!? ふざけんなよ!!」
ガツンッ、と近くにあった建物の壁を拳で叩きつけたまま動かなくなったナギ。よっぽど腹を立てているのかと顔を覗き込んだら、どうやら拳を痛めたらしく、涙目になっている。
うーん、なんか落ち着かない。
このギスギスした空気を緩和させようと、私はふと頭に浮かんだ考えを口に出してみる。
「もしかしたらユウリも旅の資金を増やそうとしてるんじゃない?」
私の言葉に、二人は白けた顔でこちらを見た。……うん、確かに私も言って後悔した。どうしても無理があるよね、この意見は。
「ミオちん。いくらミオちんが人がいいからってそれはちょっとどーかと思うよ?」
「あの性悪勇者がそんな殊勝なことすると思うのか? お前は」
「……うん、ごめん。今のは私が間違ってた」
なんで私が謝らなくちゃいけないんだろう。
ともあれユウリの行動に俄然盗賊退治へのやる気が沸いた3人(特に2人)は、勇者に一泡ふかせてやるという決意を胸に託し、意気揚々とロマリアの町を出た。
そこでふと、ナギがあることに気づく。
「そーいや『シャンパーニの塔』ってどこにあるんだ?」
私はあっと気づいて、急いでいざないの洞窟で拾った世界地図を広げた。点滅しているのが現在地。そこから西って言ってたから、……この辺かな?
一同が地図を覗き込む中、私は指で塔があると思われる場所を指した。
「うーん、意外に距離あるね。どうする? 海岸沿いに回っていく?」
「そーだな。この距離だと途中で野宿になると思うし、なるべく近道していこうぜ」
近道といっても、その距離は十分あった。地元である私でさえも、その遠さにうんざりした。
なにしろ私の生まれ故郷カザーブからロマリアまでの、2倍以上の距離なんだもの。
森の中の街道をひたすら歩き続ける途中、私がこの近くの村出身だという話を持ち出したら、ナギが興味深げに聞いてきた。
「そういやミオって、ここからどうやってアリアハンまで行ったんだ? 旅の扉を通ってきたわけじゃないだろ?」
「えっと、最初に私の住んでる村に、ロマリアの王様からのお触れが回ってきたの。『勇者とともに魔王と戦う仲
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