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ある晴れた日に
198部分:さくらんぼの二重唱その十六
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さくらんぼの二重唱その十六

「絶好のお得意様だったからな」
「調子が落ちている時でも阪神相手ならそれで絶好調になったし」
 言い換えればそこまで阪神がヤクルトにカモにされていたというわけである。しかし何故かクラスの面々はこのことに関しては穏やかであった。
「ヤクルトにも負けまくってたな」
「そっちはあんまり思わねえけれどな」
「巨人よりはな」
「だよね」
 そういう理由であった。阪神ファンはヤクルトに関しては比較的寛大なのだ。巨人に対してはあくまで敵対的であるが。
「そういうのがあったからよ」
「気持ちはわかるっていうの?」
 明日夢はまた野本に対して問うた。
「負けが込んでるチームのことは」
「そういうことだな。けれどよ」
「びっくりメニューはどうにかならないの?」
 六人の中で最も明日夢と親しい凛が彼女に問うた。その眉を顰めさせながら。
「幾ら何でも四回に三回はとんでもない組み合わせって」
「狙ってないから」
「つまりベイスターズの勝ち負けにかかってるってことね」
 凛は今の明日夢の言葉を聞いて絶望的な顔になった。
「駄目だわ、これは」
「だから頼まなかったらいいだろ?」
 佐々は呆れた顔でその凛に言った。
「結局御前等も楽しんでるんじゃねえか。その日本酒に善哉をよ」
「怖いもの見たさだけれどね」
 凛も遂には認めた。
「それはね」
「それで凛」
 明日夢は開き直った凛に対して尋ねてきた。
「どうするの?今日は」
「今日?」
「やっぱり来るの?」
「そのつもりだけれど」
 表情を消して目をしばたかせながら明日夢に答えた。
「それはね」
「そう。だったら」
「ベイスターズ今日勝ってたらいいけれど」
「ああ、それは安心していいよ」
 その凛の横で恵美が言ってきた。
「今日はね」
「今日は試合あるんじゃないの?」
「雨よ」
 携帯を見ながら凛に告げた。
「今日の横浜はね」
「ふうん、雨野投手ってわけね」
 凛は恵美の言葉を聞いて納得した顔になって頷いた。
「じゃあ今日は何もないわね」
「ドームじゃないからね」
「それじゃあ今日は安心してびっくりメニュー頼めるわね」
「絶対に頼むのかよ」
 野茂もまた呆れた顔になった。
「そんだけ痛い目に逢ってもよ」
「痛い目にはあってないから」
「ねえ」
 凛だけでなく咲も言う。
「確かに胸焼けはするけれどね」
「目が点になるし」
「けれどまあね」
 ここでははっきりとは言わない凛だった。
「結構こっちもこっちでね」
「じゃあ好きにしろよ」
 もう野茂はこう言うしかなかった。匙を投げた感じだった。
「日本酒に善哉でもみつ豆でも好きなのやれよ」
「今日の機種はハイパージョイがいいかしら」
 凛は
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