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提督はBarにいる・外伝
ある外交官の独白・1
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重巡リ級を生け捕りにさせて、艦娘の核とされている艦霊(ふなだま)を物質化した物……通称『リュウコツ』を無理矢理に体内に埋め込んだのだ。





 当然というか、必然というべきか。実験は失敗の連続であったらしい。複数の検体の犠牲の上で、事態は予想外の展開を見せる。なんと、検体の1つの下腹部が急激な膨張を始めたのだ。丁度、女性の胎内に新しい命が宿ったかのように。結局その母体となった検体は死亡したらしいが、その体内の人体でいう『子宮』に当たると見られる器官の内側から胎児が発見された。これにより、深海棲艦には単一生殖による増殖の可能性が示されると共に、それを利用した培養への光明が見えた、と彼等の研究レポートの一文にはあった。最早他国の軍施設を制圧しているというだけで国際問題に間違いなく発展する事態だと言うのに、そこではSF映画などに出てきそうなマッドサイエンティスト染みた狂気の実験が行われていたのだ。その報告を読むだけで、私は胃に穴が空きそうだった。だが、話はそれだけに留まらない。深海棲艦の胎内から取り出された胎児は、艦娘とも深海棲艦とも違う体組織で形成されていたのだという。艦娘という日本発祥の人型兵器の登場は、それこそ世界の軍事バランスを日本一強に覆しかねない危険性を孕んでいた。だが、偶然によって発見されたこのちっぽけな胎児が、再び合衆国を軍事大国へと返り咲かせる希望であると彼等のレポートは書き綴っていた。確かにそうかもしれない。……しかし、彼等は忘却していたのだ。目先の利益と自分達の矮小なプライドの為に、自分達が何を利用して新たなる兵器を産み出そうとしているかを。





 ホワイトハウスから送られてきたレポートは続く。彼等が制圧した鎮守府は、何かの事故によって消滅したらしい。だが、研究結果やそれまでのデータは持ち出され、米国本土にてその研究は続行された。その頃には深海棲艦の身体を母胎とする非効率な形から、培養カプセルの様な物を使っての実験に推移していたらしい。更には、これまで艦娘の建造は艦種を絞り込む事は不可能とされてきたが、それにある程度の指向性を持たせる為のプログラムとその管理をする為のAIが開発された。これによって少ない資源でも戦艦・空母等の大型艦娘でさえ建造が可能になる……はずだった。しかし、突如としてAIが暴走。深海棲艦が持つとされる金属侵食作用を発揮して、研究施設を飲み込み、偶々試作機として建造されていた工作艦『ヴェスタル』のボディをベースとして定着。その姿は、深海棲艦を更に禍々しくしたような恐ろしい姿だったという。そしてその化け物は己の身体から別の化け物を生み出し、残った研究施設を破壊、逃走。米軍も必死に追撃をしたが、悉く返り討ちに遭い、その化け物は海洋へと逃げおおせてしまった。その化け物こそ此度の『リバースド・ナイン
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