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おっちょこちょいのかよちゃん
1 おっちょこちょいの少女の物語
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 静岡県の清水市(現・静岡市清水区)。そこに住む山田かよ子はおっちょこちょいな女子である。大小問わず何かととんでもない失敗をやらかしてしまうのだ。
 かよ子は両親と共に三人暮らし。父はこれといって特徴はない平凡な男性。母は専業主婦で、隣人のおばさんとは仲がよいが、昔から深い交流があるらしい。母は娘ほどおっちょこちょいな所はあまり見られないのでかよ子のおっちょこちょいは父親譲りかもしれない、とかよ子は思っていた。
 学校は家から徒歩17分ほどの入江小学校に通っている。友人としてまるちゃん(正確にはまる子)ことさくらももこという自分と同じくおっちょこちょいな女子と気が合う。そして穂波たまえや土橋とし子という友人などもいる。三年生になった今でもよく彼女らと共にいる。
 そんなかよ子は恋する女子でもあった。恋する相手は杉山さとしという男子である。彼は親友の大野けんいちと共にかよ子のクラスで頼れる存在であった。しかし、中々思いを上手く伝えられない上、大野に恋する冬田美鈴が幾度もアタックしては相手にしてもらえないという現状を見て、上手く伝えても杉山から断られ、迷惑がられるのが怖かった。その上、とある騒ぎでまる子にクラス全員に自分が杉山が好きだと思いきり明かされて恥ずかしくなった。まあ、杉山自身には想いは間接に伝わったのだが・・・。

 四月も後半になれば新しい三年生のクラスにも慣れ、大変な事はあっても学校生活は楽しく感じていた。とある日、かよ子は目覚まし時計が鳴ると共に起きた。
(遅刻しちゃう・・・!!)
 かよ子は起きるなり、すぐ着替え、歯磨きをするが、間違えて母の歯ブラシを使ってしまった。そして食卓に着くと・・・。
「あら、かよ子、早いわね」
「え?」
 かよ子は時計を見た。よく見たら起きる予定の時間よりも一時間早い。
(目覚まし、掛け間違えちゃった・・・)
 かよ子はこの日もいきなりおっちょこちょいをしてしまったと思った。まあ、遅い時間に設定するよりも幾分増しではあるが・・・。
 かよ子は朝食を食べ、忘れ物がないか確認する。
(大丈夫だよね・・・?)
 教科書も、ノートも、筆入れもランドセルに入っている。他に持っていくものとすれば体操着。ちゃんと入っている。
「行って来まーす!」
 かよ子は家を出た。その時、前を歩く男子高校生とぶつかりそうになった。
「あっ!」
「おっ、かよちゃん、おはよう」
 その男子高校生は母と交流の深い隣人のおばさんの甥であった。名前は三河口健(みかわぐちけん)という。中学生になってから何らかの事情で実家を離れて彼の父の姉にあたるというおばさんの家に居候しており、今は電車で二駅先の清水市内の高校に通っている。
「あ、隣のお兄ちゃん、おはよう」
「まだ時間あるから急がなくていいと思うよ」
「うん・
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