摩耗を抑えて沖田さん!
[5/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
った。彼は身長が高い。鬼の副長と恐れられた土方歳三と同じぐらい。私にもう少し身長があれば、横に並んでも様になったのに、なんて事を沖田は思う。
マスターは分かってないんでしょうね……。
カーター達を助けた時。渓谷を突破する際に、沖田に掛けた令呪――『何があろうと戦い抜け』という命令。それが沖田にとって、どれほど嬉しいものだったのか。
きっと何時までも戦い抜いて来た彼には分からないだろう。でもそれでいい。沖田はそんなマスターと共に最期まで駆け抜ける。今の沖田の誠の旗は彼と共に在るのだから。
「こんなもんだろ」
カーターと工兵・衛生兵予定の兵士達を連れて戻って来ると、彼は二頭の熊を仕留めて笑っていた。
「ここの生態系、どうなってるんだ? 特異点化の影響で狂ったのか……元々生息していたのを人間が絶滅させるのか。まあそれはいいがな。なんでお前まで来たんだカーター。お前は呼んでいないぞ」
「申し訳ありません。しかし副官として、出来る限り近くにいようかと思いまして」
「気負うのはいいが、来たからには運ぶのを手伝え。血抜きして解体して、コイツを食えるように処理する」
野草、木の根……食えるものと食えないものの見分け方を、カーターや他の兵士達に口頭で伝えながら歩く鋼のような男の傍に侍る。
沖田は二つの巨体を十人掛かりでなんとか持ち運ぶ兵士達を尻目に、これから迫り来るだろう苦難から助けようと誓った。
「――さて。改めて名乗ろう」
狩りの成果は上場だった。士郎だけで冬眠前の熊二頭、部下達が大小様々な獣を十頭、河で五十匹近い魚を乱獲した。それらの処理と調理を終える頃には日暮れが近づいていて。
難民172名を呼び集め、その周囲をカーター指揮下の中隊で囲い。士郎の背後には沖田や二個小隊、二十一名の予備兵を並べている。高台から難民達を見渡す士郎は、その中に先程の少年と二人の妹達を見つけたのか一瞬目を止めたが、流して周囲を見渡した。
「俺はシロウ・エミヤ。名前の響きで分かるだろうが異国の者だ。この緊急事態に在って、お前達を守ってきた兵士は俺の指揮下に入った。謂わばお前達の命を守り、安全な場所まで送り届ける責任は俺に帰する事になる」
ざわめきは、起こらなかった。
驚き、戸惑うだけの気力も湧かないのかもしれない。だが沖田を背にするマスターは、そんな暗い雰囲気にも気後れせず、あくまで堂々と声を張り上げている。よく響く、遠くまで行き渡る声音で。
「ここから三日歩いた先に、軍事基地がある。其処に行けば最低限の物資は得られるだろう。もし其処にお前達の指導者の手が行き渡っていれば、無事に保護してもらえる。だがそうならなければ更に歩き、歩き、歩き続けて安住の地を求めなければならない。だが安心しろ。お前達の身の
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ