今日からBOSSだよ士郎くん!
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「指揮官は誰だ」
――誰もが死に物狂いで戦った。必死になって生へしがみつき、遮二無二戦って勝利した。
だが全員が無事に生き残った訳ではない。戦った以上、どうしても死傷者は出る。500名近くいた兵士は点呼した所、321名となり。200名近い難民にも犠牲者は出て172名となった。士郎と沖田を含めると総員495名となる。
戦えるのは兵士と士郎達のみ……。いつまでも渓谷に留まる訳にもいかず、疲労困憊の難民達を連れて行軍を開始していた。
そして森に入り河を見つけるとそこで一度休憩を取る事になる。夜通し逃げ回っていた難民達は河で水を飲むと、体力の限界だったのか木の蔭に入るやそのまま地面に横たわったり、樹木に縋り寝入ってしまった。
厳しい訓練を積んだ兵士達も顔色は悪い。体力の限界なのは彼らも同じだ。今すぐにでも休息を取らねばならないだろう。士郎としても彼らを休ませてやりたいが、今はそれより確認しなければならない事がある。
河のせせらぎを背に、士郎は兵士達を集めると問い掛けた。すると彼らは暗い表情で互いを見遣る。数秒待つと、一人の士官が歩み出てきた。金髪碧眼の青年だ。
彼は士郎の前に出ると敬礼してくる。自然と上位者に対する敬礼だったので、士郎は一瞬戸惑うも、すぐに気を取り直して答礼する。士郎が答礼を終えて手を下ろすと青年もまた敬礼を解いた。
「アメリカ植民地軍所属アルトリウス・カーター大尉であります」
「シロウ・エミヤだ。こっちの奴がセイバーリンク・キラー。お前が部隊長か?」
セイバーリンク・キラーって誰ですかと呆れつつも、沖田はぺこりと頭を下げ、そのまま士郎の後ろに下がった。自分が士郎に従うものであると態度で示したのである。
完全に呆れているが、サーヴァントの真名を公言するのもバカらしい。衣装でバレバレだが日本のマイナーな英霊だ。サーヴァントといえど一目で『あれはシンセングミ!』とはなり辛いはず。そうだったらいいなと士郎は現実逃避した。
異国の名にカーターは微かに表情を動かした。それは単なる困惑のようだ。カーターは気にする事ではないと頭を振り、士郎の問いに答える。
「いえ。部隊長は以前の戦いで戦死致しました。先刻まで指揮を執って下さっていたジョナサン・ジェイムズ少佐も、先の化け物との戦いの最中に戦死しております。ジェイムズ少佐亡き今、私が生き残った者達の中で、唯一の士官でして……」
「カーター……家は馬車職人か、御者か」
「は。実家は御者でした」
カーターという姓の由来を思い出して呟くと、アルトリウス・カーターは生真面目に応じる。士郎は一つ頷き、兵士達を見渡した。
アメリカ独立戦争時代の大陸軍……アメリカ植民地軍は、1781年から大きな危機を迎えていた。大陸会議が破産し、
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