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人理を守れ、エミヤさん!
今日からBOSSだよ士郎くん!
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「一ヶ月……意外と最近だな……。……では次の質問だ。現状で頑強にケルトへ抵抗している戦線が何処か分かるか?」
「いえ……把握できておりません」
「……。……生き残りが他にいないか訊いても答えられそうにないな。ではケルト側の将、サーヴァントについて知っている者は?」
「……」
「……よく分かった。何も知らないんだな。……これが最後の質問だ。携帯している食糧はどれほどか答えろ」

 重苦しい沈黙が流れる。士郎は眼を閉じた。
 難民の者達はどれほど食わせられる? そう訊ねるとやはり、静寂に包まれる。

「このままだと、餓死するぞ」
「……!」
「誰か、最寄りの軍事基地がどこか知っている者はいないか。……カーター大尉」
「は。私に心当たりがあります。もしも無事なら物資などを調達出来るかもしれません」

 カーターの答えに、露骨にホッとする者が幾人もいる。それに士郎は厳しい眼をした。

「ここから徒歩で何日ほど掛かる?」
「……強行軍で、二日かと」
「それだと難民がついて来れそうにないな。三日は掛かる訳だ。その三日間、どうやって食わせてやる? それとも彼らを置いて行くか? なけなしの食糧を奪って」

 士郎の言葉に、電撃が走ったようだった。
 緊迫する空気を叩き壊すように、士郎は断固として告げた。

「見捨てようなどと考えるな。もしそんな素振りがあれば、その瞬間に俺はお前達を見捨てる」

 勿論本気ではない。だがそう言って楔を打っておく必要がある。下手な考えを持たれても困るのだ。
 彼らが何かを考える前に、士郎は畳み掛けるように話を次に移した。

「今度はこちらの番だ。お前達の敵の正体について説明する」

 士郎は魔術、サーヴァント、宝具、聖杯について語る。カルデアについては省いた。人理についても。言っても理解不能だろうし、言う必要もなかった。
 途端、胡散臭そうな空気が流れるのにも構わず話し終えると、彼らの上空に指差した。
 上を見た彼らが悲鳴をあげる。そこには士郎が投影した剣が浮遊していたのだ。

「お前達は自分の目で何を見た? オカルトは現実に存在した……だから理不尽な虐殺に晒されている。この期に及んで現実を疑うなら、俺の言う事を疑うなら、そのまま蹲っていろ。死ぬまで」

 苛烈な物言いである。冷酷な響きに兵士達は自分達の手元にある剣を見る。
 士郎の投影した剣だ。嘘だろ……そう呟く声は現実を直視している。嘘だと思いたいがその重量が何よりも雄弁に語りかけてくるのだ。敵を、そして自分を殺せてしまえる鋼の重さを。

「理屈や原理を理解しろとは言わん。だが其処にある現実(もの)から眼を逸らすな。生き残りたいのなら。少なくともお前達は既に一度、生きる為にその剣を執って戦った。――立て。戦
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