第六章
[8]前話
「そしてです」
「そのうえで、ですね」
「もう冒険者は止めます」
こう言って実際にだった、少年は鎧兜も剣も盾も売ってしまってだった。そのうえで街の大工に弟子入りしそこでドワーフジャイアント族の者が多く持っている大工仕事の適性を活かして腕のいい大工になった。そうして少女とも結ばれたがカイ達がその時に知ったのは彼が冒険者を止めたところまででそれから先は後の話だった。
ことの次第はこれで終わった、そうしてハノイにおいて生春巻きにベトナム風炒飯に米粉に鶏肉料理、どれもナムプラーとコリアンダーを利かせたものでベトナムの地酒を飲みながら楽しんでいるとだった。
カイの手にあるものが宿った、それは何かというと。
水が並々と入っている小鉢だった、カイはその小鉢を手にリサールに話した。
「水珀小鉢ですわ」
「ああ、西遊記に出て来る」
「水珀が持っていたものですね」
水星を司る神が持っていたものだというのだ。
「それですね」
「それがあんたの新しい神具だな」
「はい」
その通りだというのだ。
「火と水ですね」
「その両方を自在に使える様になったか」
「そうなりました、そして」
カイはリサールにさらに話した。
「これまでの戦闘と神託を適えたことで」
「それでやな」
「これまで以上に強くなりました」
そうもなったというのだ。
「一回り程」
「それはええことやな」
「はい、それではですね」
「今からだな」
「今は食べて飲んでいますが」
「それが終わったらな」
「次の場所に行きましょう」
ベトナムの強い地酒を飲みつつだ、カイはリサールに話した。
「そうしましょう」
「絶対にな」
「僕達の目的は神託ではないのですから」
これからも先がある、だからだと言ってだった。
カイは今はリサールと共に飲んで食べた、そうしてその美味さを糧として次の目的地に向かうことにした。神託を適えてもそれで終わりでないからこそ。
戦わせない訳は 完
2019・4・17
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