195部分:さくらんぼの二重唱その十三
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さくらんぼの二重唱その十三
「音楽はこれでね」
「そうだな。これでな」
「決まりってことでね」
「よし、じゃあ後は本番に向けて竹山と設定しておくな」
正道は彼等の言葉を受けて皆に述べた。
「それでいいよな」
「ええ、それでね」
「頼むな」
これで音楽の話も終わった。このことに関しては正道にとって満足のいく結果になった。今日はこれで終わった。だが皆これで解散はしないのだった。
「さて、今日の仕事は終わったし」
「とりあえずどっかに遊びに行くか」
仕事の後はそれであった。
「で、何処行く?」
「スタープラチナなんかよくね?」
明日夢の家の店であるのは最早言うまでもない。
「そこで今日の打ち上げってことでさ」
「どうよ」
「あっ、ちょっと待って」
だがここで咲が少し剣呑な様子の顔で皆に言うのだった。
「今日横浜勝ってる?」
「んっ!?横浜?」
「横浜がどうしたんだよ」
皆その咲に対して問うた。
「北乃がベイスターズファンなのは知ってるけれどよ」
「それが何かあるのかよ」
「それが問題なのよ。ほら」
咲は今度は自分の鞄から何か小さいアルバムのようなものを出してきた。それは。
「プリクラ帳?」
「それがどうしたのよ」
女組がそれを見てまず目をしばたかせた。
「そんなの誰でも持ってるし」
「別にねえ」
「これ見て」
だが咲は皆のそうした言葉をよそにページを開いてそのページを皆に見せてきた。見ればそこには咲達六人組のやたらと楽しそうなプリクラの写真で埋め尽くされていた。
「どう見ても普通のプリクラ写真だけれど」
桐生はそういった写真を見て静かに述べた。
「それがどうかしたの?」
「ここ見て」
咲はここで左側のページの右斜め上を指差した。
「ここね」
「あれっ、これ少年じゃない」
「ねえ」
静華と茜がその写真を見て言う。見ればそこには明日夢が確かにいる。
「で、隣にいるのはあんた」
「ってあんたも皆も少年のお店でいつも写真撮ってるじゃない」
二人は今度はこのことに突っ込みを入れた。
「見たら少年の他の娘との写真もあるじゃない」
「私だっているし」
「だから少年の顔見てよ」
皆中々わかってくれないことに苛立ちを感じているのか咲は少しムッとした調子で皆にさらに告げた。
「顔、ほら」
「顔って・・・・・・うわっ」
「これはないわ」
皆そのプリクラの明日夢の顔を見てやっとわかったのだった。そこに映っている彼女の顔はまるで苦い薬を飲んだ子供のような顔になっているのだった。
「何よ、これ」
「どうしてこんなに不機嫌に?」
「この日ベイスターズ惨敗だったのよ」
よくあることではある。
「交流でソフトバンク相手にね」
「ああ、そうい
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