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ある晴れた日に
194部分:さくらんぼの二重唱その十ニ
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さくらんぼの二重唱その十ニ

「CDにも保存してあるけれど」
「けれどあえてテープかよ」
「うん」
 壺本の問いに答えた。
「今はね。まあ聴いてみてよ」
「よし、じゃあ」
「どんな曲だろうな」
 皆期待と不安を胸に正道が作ったその曲を聴くのだった。そしてかかったその音楽はというと。
「おっ、これって」
「結構」
 早速声があがった。
「いいんじゃない?」
「っていうかいい感じだよな」
「うんうん」
 皆で言い合うのだった。
「和風でな」
「ギターも使ってるけれど」
「ギターでも和風にできるんだよ」
 正道は少し得意げな顔になって皆に述べた。彼は皆と一緒に集まっていた。皆で舞台の前に座って舞台の上に置かれているラジカセの曲を聴いているのだ。
「工夫次第でな」
「また随分と変わった工夫だな」
 春華は目を少し顰めさせて述べた。その吊り目のアーモンドの目が細くなり何処か狐を思わせるものを見せていた。
「どうやったんだよ」
「口ではちょっと説明しにくいけれどな」
「感性ってやつかよ」
「まあそういうところだな」
 こう言って話を終わらせる。
「それでやったんだよ」
「感性かよ」
 春華は正道のその言葉を頷きつつ聞いていた。
「おめえ結構以上にいいセンスしてんじゃねえかよ」
「褒めてるのか?じゃあ早速な」
「金は出さねえけれどな」
 あっさりとこう返した。
「それはな」
「何だよ、金はなしかよ」
「皆の為に作った曲なんだろ?」
「ああ」
 これはその通りであった。もう決まっていることだ。
「じゃあそんなの出す必要ねえじゃねえかよ」
「ちぇっ、しっかりしてるぜ」
「伊達に三人姉妹の真ん中じゃねえよ」
 春華も負けてはいない。
「そういうところはな」
「しっかりとかよ」
「そうだよ。まあそれでもな」
 春華は言葉を続ける。
「この曲ならいけるぜ」
「そうか」
 正道は今の春華の言葉には会心の笑みを浮べたのだった。
「じゃあこれでいいな」
「あたしはこれでな」
 いいというのだった。合格ということである。
「いいんじゃね?」
「そうだよな」
「俺もな」
「これでいいな」
 男組もこれで納得していた。彼等も合格を出した。
 しかしここで。返答が注目される人間がいた。それが誰かというと。
 二人だった。皆その二人に顔を向けた。
「で、あんた達はどうなの?」
「合格?それとも不合格?」
 それは主役の二人だった。皆明日夢と凛に顔を向けて問うていた。
「あんた達の返答で決まるけれど」
「そこんとこどうなんだよ」
「そうね」
 まず応えたのは明日夢だった。
「私はこれでいいと思うわ」
「私も」
 続いて凛が答えた。
「これでね。いいわ」

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