EX回:第74話<吹雪2号>
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囲気のまま応える。
「司令も……今日は、お疲れ様でした」
「え? あ、あぁ……お疲れさん」
(やや? これは青葉さんにしては珍しい台詞だな)
こんな気の利いたことを言う娘では無かったハズだが……。
彼女はカメラバックを抱えながら逃げるようにして立ち去った。私は、ふと砂浜で見せた青葉さんの『涙』を思い出していた。
(彼女なりに、いろいろ悟る世界があったんだろうか)
そんなことを考えていたら少し離れていた女性秘書官が私たちに近寄って敬礼しながら言った。
『私も戻ります』
私とブルネイ司令も揃って敬礼を返した。
『今日は本当に、お世話になりました』
互いに敬礼を直ると微笑しながら彼女は言った。
『これからも貴国と末永い御付き合いを期待します』
その表情は鎮守府内の外灯に照らされ一瞬、龍田さんの如き表情に見えた。正直ゾクっとした。
それから彼女は鎮守府の門を出ると、そのまま敷地外に迎えに来ていた政府専用車に乗り込んだ。軽く窓を開け再び私たちに敬礼しつつ走り去って行った。ここで、やっと肩の荷が下りた。
ブルネイ司令も同じ心地だったのか、ちょっと伸びをしながら聞いてきた。
「『出来る女性』ってのは時々あんな感じだよな」
「あはは」
私も苦笑しながら言った。
「でもきっと、あの人も一筋縄では行かないタイプだろ?」
「そりゃ、政府の高官だからな」
「なるほどね」
そんな私たちの安堵した雰囲気を見た艦娘たちも徐々に散らばり始めた。鎮守府の本館、正面玄関前広場は急に閑散とした。
ブルネイ司令は襟を直しながら言った。
「どうする? 一緒に執務室で食うか、それとも食堂が良いか」
「そうだな」
私が思案していると彼は続ける。
「ちなみに美保鎮守府での食事ってのは、どうなってる? お前も普段は執務室か」
「えっと、美保じゃ来客がなけれりゃ、やっぱ食堂だな。艦娘たちの様子というか、交流も兼ねて」
「へぇ、そうなんだ」
私の言葉を聞いたブルネイ司令は制帽を取って汗を拭った。
「俺はどうすっかなぁ。ここじゃ、まだ艦娘は数えるほどで試作品だらけだ。ちょっと引いてしまうってかぁ」
彼は制帽で顔を扇ぎながら観念したように言った。
「まあ、今日は一緒に食堂にするかな……」
私はポロシャツでラフな格好だから良いけど。こいつは、ずっと制服だから暑そうだ。
「試作品って言うのは正直、良く分からないけど、どうなんだ?」
私の言葉に彼は振り向いた。
「一番、安定しているのは五月雨だな」
「それだよ」
私は、いちばん気になっていることを聞いてみた。
「その『安定』って何だ? 本省の技術参謀も、よく使うんだけどな」
彼は軽く頷いた。
「技師に
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