SS9 オオカミとかずみの決意
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まで感じたことがない不思議な満足感に……。
「えっ? どうしたの? どこか痛いの?」
「えっ…あ…、いや、なんか…涙が…。」
理由はよく分からない。それは、カズの素体になったミチルの肉体の記憶が反応したのか。自然と涙が流れていた。
「ほんと…美味いよ。」
「カズ…。」
涙をボロボロと零しながらカズは、いちごのリゾットを食べた。その様子をかずみと立花が見ていた。
「…決めた。」
「えっ?」
「いや、オレの話だ。…ごちそうさま。美味かったよ。ありがとう。かずみ。」
「あっ。あの!」
「なんだ?」
「私と、カズって…、本当に、他人?」
痛いところを突かれた。だが…。
「ああ。他人だ。」
「そう…なんだ。」
カズは、泣きそうな顔をするかずみから顔をそらし、勘定を置いてレストランから出て行った。
出て行ってすぐに、フードを深く被り、空間に開けた穴に姿を消した。
「カンナ…、オレは決めたよ。」
カズは、空間の中でオオカミの魔獣へと変じる。
『オレは…、どこまでもカンナの味方でいるよ。』
それは、カズが出した答え。
かずみが、自ら死を選ぶように……、カズもまた決意した。
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