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ヒュアデスの銀狼
SS9  オオカミとかずみの決意
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あれ? だいじょうぶですか?」
「あ…。」
「!」
 思わず顔を上げたのが悪かった。
 かずみともろに目が合った。
「えっ、えっ?」
「えっと…、あの…。」
「お客さんか? あれ、君は…。」
「もしかして、この人が?」
 シェフも出てきてカズの顔を見て反応し、かずみが聞き返した。
「すみません…。ば、バケツパフェひとつ。」
「…とりあえず入りな。」
「はい…。」
 そして、流されるままレストランに入った。





***





 気まず〜い空気に、カズはいたたまれなかった。
 机を挟んで向かい側に座っているかずみが、じーっとこちらを見ている。
「えっと…。」
「ほんと…そっくり。」
 かずみがどこから出したのか手鏡で自分の顔と、カズの顔を見比べて言った。
「ほい、お待たせ。」
 そうしてシェフがバケツパフェを運んできてくれた。
「それ、美味しいよね。私だ〜い好き!」
「そ、そうか…。」
 かずみが天真爛漫に笑う。
「…できたら……食べさせてあげたかったなぁって、今も思うの。」
「誰に?」
「…もう、いない子。」
「あ…。」
 カズは、あいりとユウリのことだと思い当たった。
「あ、ごめん! 暗い話したら、美味しくなくなっちゃうね。ねえ、…えっと、名前…。」
「カズ…だ。」
「カズ? 偶然だね。私、かずみ。名前も似てるんだね。」
「…不思議な偶然もあるもんだな。」
「そうだね。」
 カズは、そう答え、ガツガツとバケツパフェを食べた。
 かずみは、ニコニコと笑っている。
 …実際は苦しいだろうに。っと思っても口に出せない。まだ自分がかずみのキョウダイで、オオカミの魔獣だと知られてはならない。
 やがて、バケツパフェを食べ終えた。
「…物足りないな。」
「え〜。カズって大食い?」
「いや…、口の中が…。」
「口の中が?」
「ごめん。なんでもない。何か別のもんが食べたいな。」
 そう思って机の上に置いてあるメニューを取ろうとすると、かずみが手を伸ばして止めた。
「なんだ?」
「時間あるなら、ちょっと待ってくれる?」
「えっ?」
「立花さん。キッチン貸して。一緒にいちごのリゾット作ろう。」
 かずみが立ち上がり、立花というシェフと一緒にキッチンに入って行った。
 それから、どれくらいかして……。
「これは…。」
「グランマのレシピだよ。」
「……美味い。」
「ん〜! 美味しい! グランマのレシピ最高だよ!」
「初めて食べるが美味いな。」
 三人でかずみ…、否、ミチルの祖母のレシピであるいちごのリゾットを食べた。
 カズは、今
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