四十匹目
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デン、シラヌイをクーコの所へ連れていってやれ。そのまま帰ってよいぞ」
「いいのですかタマモ様?」
「よい」
ボーデンが至極嬉しそうにシラヌイを抱き上げ、退室した。
「では本題に入ろう」
ツェツィーリアが切り出す。
「話の内容は、さっきまでそこに居た子狐の事だ」
ツェツィーリアが腕輪を掲げる。
「ドワーフにも劣らぬ…否、ドワーフを凌駕する宝石の加工技術だけを取っても彼の者の価値がわかるだろう」
その数珠の魔法陣はひとつひとつの『内部』に『多層的に』描かれている。
「これだけの事ができる奴を私は他に知らぬ」
公爵三家の婦人が有色透明の数珠を見る。
「故に言っておく、シラヌイ・シュリッセルに手を出すな」
「シラヌイはクーコちゃんのお友達ですものね。
氷の女王ツェツィーリアも婆バカですね」
「茶化すなシェルム。お前の息子の事を言っているのだぞ」
「大丈夫ですよ。私は息子を信じてますから」
ツェツィーリアが額に手を当てる。
「これだからシュリッセルは……」
「なんじゃ。儂に文句か?」
「言いたい事は山のように有るが…。手を出すというのは物理的な物だけではない。
ピスト、アンタレス、ベテルギウス。シラヌイを陥れよう等と考えるなと、夫達に伝えておけ」
公爵婦人達が首を縦に振る。
「質問宜しいですか女王陛下」
「どうしたベテルギウス」
「正当な報酬を以て宝石細工を依頼する分には構いませんね?」
「そうだな……ではそれを話し合うとするか」
「遅いわよボーデン!」
「無茶言うなよ姫様」
ボーデンがシラヌイを連れていったのはクーコの私室だった。
「姫様だってサロンの事はしってるだろう?」
「むぅ……そもそもサロンは男性禁制よ」
「それを言ったらここだってそうだろう。いくら子供とはいえ王族の、それ以前に女の私室に男を通すなんてどう取られるかわかってるだろ?」
「ごちゃごちゃうるさいわねー…。さっさとシラヌイを渡しなさい」
「えー……」
「さっきまでシラヌイと居たんでしょ? 今日は私の誕生日なんだから私にシラヌイを独占させなさい」
「しょーがねぇなぁ…」
ボーデンが胸に抱くシラヌイをクーコに渡した。
「じゃぁアタシは帰るぜ」
「泊まって行ってもいいのよ?」
「首が飛ぶっつーの…。シラヌイはシュリッセルだから許されるのであって只の錬金術師にはそんな権利ねーよ」
ひらひらと手を振りながら、ボーデンが出ていった。
その晩クーコはシラヌイを抱き枕にして眠るのだった。
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