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fate/vacant zero
風の訃報
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う。



 いま、それを知る者は一人と居おらず。





 ただ彼らの足跡あとに、風が空しく吼えているばかりであった。

















































 なあ、アンリエッタ。   |



 トリステインでは、元気にやっているかい?   |



 きみのことだ、国のどろどろとしたものに心を悼め、その行く末を嘆いているかもしれないな。   |





 でも、きっと大丈夫だ。   |



 きみの国には、私たちなどよりも、ずっと貴族らしい平民の少年がいた。   |



 それだけのことだ、ときみは悲嘆するかもしれないが。   |



 何故だか僕は、それだけのことで、何よりも安心できたんだ。   |





 もし、生きて帰ることができたなら、   |



 今度は、あの少年の様に生きてみたいと思う。   |



 今度は、一人の男として。   |



 きみに、真っ先に会いに行くよ。   |







 親愛なるアンリエッタへ   |



 愛を込めて XXX   |





(Wales Tudor,"部屋の灯りとなった手紙" Anno.Vartoli.1963.Mann.Othel.Lagu,末文)













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