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fate/vacant zero
風の訃報
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来ても、彼とわたしたちで片付ける」


 ……彼?

 タバサはそう言って、杖でわたしの背後を…、いえ、小船の向こうを、今までワルドが現れてきた方を指した。



 そこに、サイトは立っていた。

 こちらに背を向けて、でも、片手には朱金に煌きらめく片刃の長剣を、もう片手には草銀に煌めく刀身の、双輪の鍔つばをつけた短剣を握り締め。


 ここは通さないと。

 そう告げるように、力強く立っていてくれた。



 自分の、傍らではなく。

 遠い、所で。


 ずっと、守ってくれていたのだ。



 涙が、止まらなくなった。















 風竜の上、誰かの腕の中で、ルイズは目覚めた。


 その腕の色と、わずかに視界に入る炎のような長い髪から、自分がキュルケの腕に抱かれていると気付いた。

 だいたい、風竜の尻尾の付け根辺りだろうか、ここは。


 風が、頬を撫でていく。


 ……夢では、ないようだ。



 自分は、助かったのだろう。


 そして。……タバサは。



 沈鬱ちんうつな気持ちで上を見上げてみれば、キュルケの寝顔がドアップで見えた。



 申し訳ない気持ちで、一杯になった。



 あの夜も。宿敵のはずの自分を心配してくれていた。


 今朝だって、一人、式に出て。

 戦って、くれて。

 そんな、キュルケの親友を。


 わた、しは。



 涙をこぼしながら、軽く、ぽつりと呟く。


「ごめん」

 違う。


「ごめんなさい」

 そうじゃ、ない。



「ありが、とう」


 そう、これだ。



 ……ツェルプストーに礼を言ったラ・ヴァリエールはわたしが初めてなのかしらね、と少しだけ苦い笑みがこぼれた。



 顔を前に向けてみると、ギーシュは一つ向こうの背びれに、こちらを向いてもたれていた。

 泣き顔を見られてしまったが、今はどうでも――?



 なにやら口に人差し指を立て、笑って自分の背後を指差している。

 いったい、なんなんだろうかと見やった、


 その向こう、風竜の首の付け根の辺りに。


 剣こそ構えてはいないようだが、夢と同じように、わたしに背を向けて何かを見ている使い魔。

 朱金の剣を背にぶら下げ、どこかで見たベレー帽を被った、半袖の私の使い魔サイト。


 その視線の先にある、見覚えのある二隻の凧フネ。



 そして何よりも、サイトの足もとに。



 ちょこんと、背び
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