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fate/vacant zero
風の訃報
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、心の震えで決まる」


 デルフが珍しく真剣な口調で語る。



「魔法とおんなし要領さ。怒り、哀しみ、喜び、楽しみ、なんだっていいんだ。
 お前がそれを忘れねえ限り、オレは、『運命の剣デルフリンガー』はお前の武器だ」



 途方も無い話、って奴になるのかね。

 こいつの話をそのまま信じれば、こいつは2000年前の、伝説の武器ってことになるんだが。


 なあ、こんな軽くていいのか伝説。

 伝説の魔法使いメイジだの伝説の秘宝だの、その辺に転がってねえだろうな?

※転がってます。

「……まあいいや。
 それで、お前は何が出来るんだ? 必殺技とかある?」

「シェルじゃねえんだからんなもんねえよ! 」


「マテこらデルフ、俺にもそんなもんねえぞ」

「そか? まあ気にすんなって」

「気にするぞ」



「で、だ。俺に出来るのは、魔法を喰うこと。
 とりあえず思い出してるのはそんだけだね」


「しょっぺえなぁ」

「ほっとけ」

「俺はスルーかよ……」


 すまんね、好奇心につられた。

 別に愕おどろかされた仕返しなんて考えてないヨ?


 考えてナイ。







 剣を両手にわやわやと話し込んでいたら、王子さまが話しかけてきた。



「サイトくん」

「はい?」

「きみの助力に、感謝する。

 今が平時だったなら、爵位の一つでも与えたいのだが……」


 シャクイ?



「いえ、俺はただ……、なんかこう、ワルドの奴がムカついたから、殴りにきただけですから」

「それでも、私たちが助けられたことに変わりはないさ。

 ……そうだな、代わりといってはなんだが、これをきみに」


 そういうと王子さまは、その手に嵌はめた宝石――『風のルビ−』を外すと、俺に手渡してきた。



「……いいんですか?」


 これ、国宝だったんじゃ。



「なに、連盟レコン・キスタにくれてやるくらいなら、恩人に自ら手渡す方が手放し方としては遥かにいいさ。

 ついでだ、これも受け取ってくれ」


 今度はその頭に乗せられた羽つきのベレー帽を脱ぐと、そのまま俺の頭に、ぽすり。

 って。



「……あの?」


 ずれ落ちそうになって視界を塞ぐベレー帽を、両手で支える。



「こっちは、私の感傷かな。まあ要らなければ、捨ててしまってくれて構わないさ」


 感傷、ね。


「いえ……、ありがとうございます」



「ところで、あのモールベアは君たちのツレかね?」


 へ?

「ヴェルダン
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