紅の礼拝堂
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由にはならないはずだ。
それほど明瞭な理由なら、わたしはきっとはっきりと告げる。
正直に。それが、わたしのささやかながらの誇りだから。
それでも、ルイズは答えない。
では、なぜ。
そう考えたとたん、脳裏に一人の青年の顔が浮かんだ。
――サイトだ。
自ら呼び出したあの使い魔の不機嫌そうな顔が、ワルドに負けたときの普通を装った顔が、頭の中を流れた。
「うわ、うわ、うわ……」
「ほ、ほんとに大丈夫かね?」
シルフィードの上に乗っかってからも、イーグル号とマリー・ガラント号のタラップが外されても、才人は奇妙な異常を訴え続けていた。
「な、なんか段々視界が捩ねじれてきたぞ?
な、なんだこりゃ? 病気か? それとも魔法か?
なんなんだよ一体?」
「そりゃ俺たちが訊きてえよ! いったいどうしたってんだヒラガ?」
皆の視線と不安を一身に受ける中、歪みに歪んだ左目は、一瞬にしてある像を結んだ。
「うわ! な、なんだこりゃ! なんか見えるぞ!」
果たして、その左目には、ギーシュやタバサが見える右目とは別の、奇妙な光景が映し出されていた。
「なんだね、何が見えるって言うのかね!」
そこには、ここに居ないはずのキュルケが、ワルドが、ウェールズが、こちらを覗き込んでいる様子が映し出されていた。
どこなのかまではよく分からない。
わからないが、アニメなんかで見た、教会の内装って奴はこんな感じだったように思う。
「これは……」
「「「「これは?」」」」
これは、多分。
「……ルイズの、視界だ」
ギーシュは、ワケがわからないというように首を捻っている。
タバサは、目を少し見開いている。何か思い当たる節でも……。
ふと、自分がこっちに来た日にルイズが言ったことに思い当たった。
『使い魔は、主人の目となり、耳となる能力が与えられる』。
そんな内容だったはずだ。
己が使い魔である証の、左手の痕ルーンを見やれば、武器デルフやシェルを握っているわけでもないのに、仄かに光を放っている。
ひょっとして、これが原因か?
でも、なんだってこんな急に……?
「新婦?」
あの日。学院で、ワルドと再会した日。
ワルドがウェールズを、片手で制した。
思えば、あの日からずっと。
「ここは、僕が……」
違う……。
本当はサイトが、『風』の魔法を使ったあの日から、ず
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