暁 〜小説投稿サイト〜
fate/vacant zero
紅の礼拝堂
[5/19]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
由にはならないはずだ。


 それほど明瞭な理由なら、わたしはきっとはっきりと告げる。

 正直に。それが、わたしのささやかながらの誇りだから。

それでも、ルイズは答えない。

 では、なぜ。



 そう考えたとたん、脳裏に一人の青年の顔が浮かんだ。


 ――サイトだ。

 自ら呼び出したあの使い魔の不機嫌そうな顔が、ワルドに負けたときの普通を装った顔が、頭の中を流れた。







「うわ、うわ、うわ……」

「ほ、ほんとに大丈夫かね?」


 シルフィードの上に乗っかってからも、イーグル号とマリー・ガラント号のタラップが外されても、才人は奇妙な異常を訴え続けていた。



「な、なんか段々視界が捩ねじれてきたぞ?
 な、なんだこりゃ? 病気か? それとも魔法か?
 なんなんだよ一体?」


「そりゃ俺たちが訊きてえよ! いったいどうしたってんだヒラガ?」


 皆の視線と不安を一身に受ける中、歪みに歪んだ左目は、一瞬にしてある像を結んだ。



「うわ! な、なんだこりゃ! なんか見えるぞ!」


 果たして、その左目には、ギーシュやタバサが見える右目とは別の、奇妙な光景が映し出されていた。



「なんだね、何が見えるって言うのかね!」


 そこには、ここに居ないはずのキュルケが、ワルドが、ウェールズが、こちらを覗き込んでいる様子が映し出されていた。


 どこなのかまではよく分からない。

 わからないが、アニメなんかで見た、教会の内装って奴はこんな感じだったように思う。



「これは……」

「「「「これは?」」」」


 これは、多分。



「……ルイズの、視界だ」



 ギーシュは、ワケがわからないというように首を捻っている。

 タバサは、目を少し見開いている。何か思い当たる節でも……。


 ふと、自分がこっちに来た日にルイズが言ったことに思い当たった。



 『使い魔は、主人の目となり、耳となる能力が与えられる』。

 そんな内容だったはずだ。


 己が使い魔である証の、左手の痕ルーンを見やれば、武器デルフやシェルを握っているわけでもないのに、仄かに光を放っている。



 ひょっとして、これが原因か?

 でも、なんだってこんな急に……?







「新婦?」

 あの日。学院で、ワルドと再会した日。

ワルドがウェールズを、片手で制した。

 思えば、あの日からずっと。

「ここは、僕が……」

 違う……。

 本当はサイトが、『風』の魔法を使ったあの日から、ず
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ