紅の礼拝堂
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ci喰らえ」
ウェールズが、先に杖を振るった。
それによって生まれた魔法は――
「な――『裂風エアブラスト』だと!」
『風刃エアカッター』の上位魔法。
風の刃を渦巻かせることでより強力な切断力を得た、言わば"チェーンソーカマイタチ現象"。
揺らぎながら飛ぶソレは、同じラインスペルでありながらも右のワルドの『風槌エアハンマー』を圧縮レベルで上回り――『風槌』を、右のワルドを、胴体から両断した。
「『風』の王族に、『風』のスクウェアが勝てる――そう考えられるお気楽な思考回路には、確かに笑わせていただいたよ」
それは、実に痛烈な皮肉。
盛大に顔を顰しかめた右のワルドは、あっさりと魔力塊に還り、霧散していった。
「く――、だが、貴様の援護を受けなかったキュルケは、自らの炎に――なに?」
残されたワルドが負け惜しみを口に出そうとして、キュルケの方を見たとき――ソレ・・は、其処に或った。
キュルケの眼前――杖の先に浮かぶ、蒼く輝く炎は。其処に、在った。
「なんとか、間に合ったわね……。
そうよね。
自分の得意分野を、余すところ無く使えばよかったのよ。
最初から、こうすれば良かったのね」
「なにを、言って――」
ワルドが呟くと、キュルケはにっっっっこりと微笑んで。
「なに、至極、簡単なことですわ――Kr?mme dich.お逝きあそばせ」
杖を、振るった。
杖に灯った蒼い炎は、跳び退ったワルドの立っていた床を直撃して――
跳び退ったワルドの他、シャンデリアや盾にしていた長椅子の半分を呑み込み、その範囲全てを火柱に包み込んだ。
『焦壁ブレイズウォール』。
火の3乗、蒼き炎がもたらす炎の攻性防壁・・・・は、幅1m、高さ3m、奥行き4mほどの空間を、綺麗サッパリと焼却し尽くして、2秒で消え失せた。
その跡に、何を遺すこともなく。
「なんとも、派手なことだね」
「情熱と破壊が、火の本領ですので。――え?」
炎が消え、ワルドが消え、シャンデリアが消えたその向こうに。
キュルケは、ありえないものを見た。
見つけて、しまった。
――サイ、ト。
サイトが、たたかってる。
まけ、ないで――、サイト。
わたし、の――――――、つかいま。
初めにその空気の中で動いたのは……、左、立ち止まっていたワルドだった。
いや、動いたというよりは、動かされた、というべきだろうか。
ぼごん、と。
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