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fate/vacant zero
紅の礼拝堂
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「なら、わたしがおしえる」


 ――へ?



「文字と魔法と。学院に戻ったら、わたしが教える」


 あの、タバサさん?



「いいのか?」

「いい。一昨日のお礼」

「わるい。また借りが増えるな」

「それも気にしなくていい。これは、わたしの借り」


 むぅ。

 まあ、タバサがそういうんならそれでも――



 おいこらギーシュ。

 なんでニヤケてるんだお前。



「いやいや、ぼくはただ、素直にきみの姿勢に感服しているだけだよ?」


 俺の目を見て言えやゴルァ。



「まあそう目くじらを立てるなよ相棒。……で、だ」


 なんだよデルフ。



「魔法対策の方はそれでいいとして、だ。

 剣の腕前と実戦経験の方はどうするね?
 さすがに、そっちの娘っことやりあう気にはなれんだろ?」


 当たり前だ。



「ぼくの『戦乙女ワルキューレ』では、相手にもなりそうにないしね」


 まああんだけ怪我して、かつお前の作った剣を使っても楽勝で倒せたしな。

 っていうか、そこらへんはお前も修行したほうがよくないか?


「耳が痛いね」


 事実だ、受け止めろ。

 ……しかし、どうしたもんかね。



「だったら、傭兵でもやってみるか?
 今なら二代目『地下水』の二つ名を襲名させてやるぞ?」


 とシェルがのたまった。

 なんだ、『二代目地下水』って。



 
「傭兵か。実戦経験を得るには丁度いいかもなぁ。
 でも、娘っこの魔法の勉強と兼ね合えないんじゃないか?」

「その辺は伝手つてがあるからなんとかできる。
 一応これでも傭兵歴はン百年だからな。短期の人手を欲しがってるところは結構あるもんだぜ」

「よっしゃ、ならそれで――」


 待て待て待て!

 当事者を置いてけぼりにして話進めるな老剣二振り!



「そもそも傭兵ってどんなことするんだ?」

「そっからか。なに、やることは簡単だ。
 得物一振り携たずさえて、今日はこっちの戦場、明日はあっちの戦場と諸国を渡り歩く。
 それだけだよ」


「簡単に言えば、生き残るたびに戦闘のベテランへと近づいていく道さね。
 実入りは悪かねえし、暴れてみるのは楽しいぜ?」


 なるほどね。

 魔法学院を拠点ベースキャンプにして、タバサに文字と魔法を教わりながら、時々戦場に出向いて日銭を稼ぐ。



 ――そんな生活をしてみるのも、おもしれえかもな。









Fate/vacant Zero

第十八章 紅の
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