誇りの在り処
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「……えーっと、だな。タバサ。いま、この人のこと、なんて呼んだ?」
「ウェールズ皇太子」
そうか、ありがとう。
俺の耳がおかしくなったわけじゃなかったんだな。
俺の記憶が歪んでなけりゃ、確かルイズが手紙を届ける相手もウェールズ皇太子って言うんだったよな?
そうかい、じゃあこの空賊のカシラさん(仮)がルイズの任務の目標か。
「ちょ、ちょっと待って、待って。
……タバサ、それ本当?」
何故かルイズに肩を借りているキュルケが、慌ててタバサに訊ねた。
「面影がある」
「面影って……、会ったことあるの?」
怪訝そうに、今度はルイズが訊ねた。
「昔」
「……人違いだ。お前さん、いったい誰なんだ?
随分けったいな格好してやがるが」
「そういえば、何故きみは仮面なんかつけているんだい?」
カシラ(仮)とギーシュが訊ねた。
そういやなんで仮面つけたんだろうな、タバサ。
ギーシュの救難信号受け取ってすぐに、念のためとか言ってかぶってたけど。
今度はタバサは口をつぐみ、カシラ(仮)の方を向いて、仮面の鼻の部分をつまんで上に持ち上げた。
タバサの顔を直視したカシラ(仮)は目を見開くと、完全に変わった口調でタバサに問いかけた。
「……彼らは、きみの信頼を置くに値する人物かい?」
そう問われたタバサの仮面の下の視線は、俺を通り過ぎ、キュルケで一瞬止まり、ルイズを見て、ギーシュを眺めると、ワルドを刺した。
そして、こくりと大きめに頷く。
……順番と時間になんか意図はあるんだろうか。
妄想が暴走して勢いよくローテンションに沈みそうになったけど、カシラ(仮)が発言してくれたお蔭でそれは防がれた。
「――きみたちは、アルビオンの貴族派につくつもりは?」
首を横に振ったり、両腕を前に突き出したり、両掌を空に向け肩の辺りまで持ち上げたりして、全員がそれを否定する。
「ならば、問題はあるまい。
そちらの三人には、窮屈な思いをさせてしまい誠に失礼をいたした。
外国に我々の・・・味方がいるなど、思いもよらなかったのでね。
では、改めて名乗るとしよう」
そう言うとカシラ(仮)は、己に残された最後の変装である眼帯を外す。
甲板へと落ちる眼帯の下からは、力強い意志のこもった瞳が現れた。
「私はアルビオン王立空軍大将、本国艦隊司令長官。
艦隊とはいっても、すでに本艦イーグル号しか存在しない無力なものと化しているがね。
ま、そんな肩書きよりはこちらの響きの方が
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