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fate/vacant zero
誇りの在り処
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づけた。

 二つの宝石が触れ合うほどに近づいたとき、その間に虹色の光がふわりと浮かんだ。



「この指輪は、アルビオン王国に伝わる風のルビー。
 そしてきみが嵌はめているのは、アンリエッタの嵌はめていた水のルビーだ。
 そうだね?」


 ルイズがこくりと頷いた。



「水と風は、虹を生む。王家の間に渡された架け橋さ」

「大変、失礼をばいたしました。
 ――こちらです」


 ルイズは一礼すると、手紙を王子サマに手渡した。


 王子サマは熱っぽい瞳でその手紙を見つめると、花押に唇を落とした。

 慎重に封を割り、内に綴つづられた文章を読む。



 その間にタバサはキュルケへと近づき、肩の傷口へ杖を押し当てていた。


 ……あの怪我、いったいどうしたんだろうな。

 海賊モドキな空軍にやられたのか、それともフーケか。


 誰の仕業しわざなのかを考えていたら、キュルケが突然に杖を肩から外した。



「ありがと、タバサ。もう大丈夫よ」

「まだ、途中」

「いいから。

 ……ほら、足元ふらついてるじゃないの。
 そんな無理してくれなくたって、痛まなかったら怪我なんてないのと同じよ」


 ……やっぱ、無理させちまってたんだな。

 朝も治療してくれたし、さっきは殆どの船員任せしまってたし……、はぁ。


 なんとか、借りを返す方法ってないもんかね。

 このままじゃバツが悪いにも程があるぞ?



「姫は、結婚するのか?
 あの、可愛かわいらしいアンリエッタは。
 私の――――従妹いとこは」


 真剣な顔で手紙を読んでいた王子さまが、顔を上げて尋ねてきた。

 ワルドが無言で頷くことで、それを肯定する。

 王子さまはもう一度だけ手紙に目を通し、微笑みながら顔を上げた。


「了解した。
 何より大切な手紙ではあるが、姫があの手紙を返してほしいとこの私に言うのであれば、そのようにしよう。

 姫の望みは、私の望みなのだから」


 安堵の溜め息が、我知らず漏れていたらしい。

 皆もそれは同じようで、なんだか空気まで色が変わった気がする。

 雲の中だけどな。


 ん? ギーシュの奴だけ、なんか表情が――


「しかしながら、あの手紙は今、手元にはない。
 ニューカッスルの城にあるんだ。
 姫の手紙を、空賊凧くうぞくせんに連れてくるわけにはいかなかったのでね」


 ギーシュの眉尻が落ちてるように見えるんだが。

 あれ?



「多少の手間をかけるが、ニューカッスルはすぐそこだ。我らが居城までご足労願いたい」



 ……気
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