白き空の国から
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う程度にしか、ここからでは分からない。
体をベッドから起こし、ふらついた所をルイズに支えてもらいながら、窓へ近づく。
「わぁ……」
その眺望は、幻想的かつ圧倒的だった。
あちこちが色とりどりに煌めき狂う、琥珀色の巨大な岩壁。
それが、視界の続く限り、はるか左右の水平線まで延びている。
わずかに首を仰角に傾ければ、その岩壁の天辺、地表の崖っぷちから、川らしき水の流れが滝となって滴り落ちている。
「驚いたかしら?」
「………………ええ。こんなの、初めてみたわ」
ほけーっとそれを眺めるキュルケを満足げに見ながら、ルイズはいつもの指を立てたポーズで説明を始める。
「あれがアルビオンの治める浮遊大陸、エタンセル。
いま見えてるのはビジュの守もりって呼ばれてる、港町の多い大陸南岸の断崖地帯ね。
この国はああやって空中を浮遊して、主に大洋を彷徨っているわ。
でも一月ひとつきの内、ほんの数日の間だけ、ハルケギニアを掠かすめるように接近してくる。
大きさはトリステインの国土ぐらいだったかしらね。で、アレが『白の国』って通称の由来ゆらい」
ルイズの指は、大陸の下の方、海の方に向いた。
見れば、先ほど見えた滝は海へと落ち込んでいるらしく、瀑布は白い霧となり、大陸の下半分を覆っている。
大陸から離れた霧は雨雲へと姿を変え、ハルケギニアの広範囲に大雨をもたらす水源となっている、とルイズは語った。
そういえば、一月ひとつきに一度ぐらいの間隔で大雨の降る日がハルケギニアのどの国にもある。
これがその理由か、とキュルケは得心した。
豪快ねぇ……あら?
なにかしら、あれ。
「ねえ、ヴァリエール」
「なによ?」
「あれって、凧フネかしら?」
ルイズに分かるよう、正面の少しずつ大きくなってくる小さな影を指差す。
「……そう、みたいね。まだ遠すぎてよくわかんないけど」
そう話してる間にも、その影はどんどんと大きくなっていく。
影の形が小揺るぎもしないところを見る限り、凧フネらしきそれは正確にこちらを目指してきているように思える。
「ヴァリエール。凧フネって、用も無く他の凧フネに向かってくるものなの?」
「まさか。そんなことやるのは軍隊か、空賊くうぞくぐらいなもの……」
二人して顔を見合わせる。
「――甲板に上がりましょう。この部屋の位置じゃ、大砲おおづつの一発でも撃たれたらアウトよ」
「そうね、それに賛成だわ。……ところで、ツェルプストー」
「ん、何?
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