白き空の国から
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そういえば、『石矢ストーンエッジ』が刺さったんだっけ。
乙女の肌に傷つけてくれちゃって、今度会ったら覚えてなさいよオバサン!
と声高らかに(胸中で)叫び、逆側の手をついて体を起き上がらせる。
すると、目と鼻の先に起き上がってきた桃色の長い髪に、ぼふっと顔から突っ込んでしまった。
(あら、いい匂い)
そのまま、髪の主がくるりとこっちを振り向いて。
まあ、当然だけどあたしの顔はそのままの位置なワケで。
超至近距離に、鳶色の寝ぼけ眼が飛び込んできたかと思うと……。
んちゅ、っと。
……この子の、やたら張りがあるわね。羨ましい。
なんてバカなことを考えるのは、やっぱり寝起きだからだろう。
そう思いたいし、あたしにその気はない。はずだ。
男好きだし。
「な、ぁ、ぁぁあぁあぁああんたツェルプストー!?
なによなによ朝っぱらから何すんのよこの『お熱』!」
「あたしは『微熱』よ『微熱』。ていうかなんかしたのはあんたでしょうが。
キス一つで赤くなっちゃって、ウブねぇ」
「な、な、なん……なんですってえッ!」
「ぁた、たたた。……お願い、傷に響くからこんな至近距離で怒鳴らないでくれるかしら?」
はた、とルイズが動きを止めた。
「ふ、ふん。傷、痛むの?」
「ええ、すっごく痛いわね。
今すぐ『治癒ヒール』をかけて欲しいくらい」
なんだか肩の芯辺りまでが、ずきずきと痺れるみたいに痛い。
「ワルドは凧フネを高く飛ばすために精神力を残さないとダメ、ギーシュは……、ドットスペルの『治療ケア』でひいひい言ってた気がするわね。
別にわたしがかけてもいいんだけど?」
「遠慮させていただくわ」
「よね。『治療ケア』で爆発なんてしちゃったら、シャレにもならないわ」
「……はぁ。水の魔法薬はないの? 例えば、幻油げんゆとか」
「それが、この凧フネには火の秘薬イオウぐらいしか積んでないみたいなの。
港町になら、あるかもしれないんだけど」
申し訳無さそうに俯いて、ルイズが呟いた。
どうやら、まだしばらくはこの痛みに耐えないといけないらしい。
「それで、アルビオンまではあとどれぐらいで着くのかしら?」
ルイズに尋ねてみると、にっと笑って窓の方を指差した。
「なに? 外がどうしたってーの?」
ふっ、とその指の指している方を向いて……、窓の外、遠くの方に、何かがあった。
目を凝らしてみるが、雲を踏みつけた、ところどころがキラキラと輝く何か、とい
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