白き空の国から
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ばかり金髪が見えている。
……っていうか、なんかこのカシラ、さっきから口調も変わってる気がする。
すっと横に視線をずらすと、タバサのいつもより困惑気味の視線と目が合った。
こくりと同時に頷きあうと――
「タバサ、あのカツラ吹き飛ばしちまえ!」
カシラをデルフで指しながら、大声でそう叫んだ。
タバサもそれを予想していたのか、"タバサ"と呼び終えた時点で、既に杖を振り下ろしていた。
「な、ぅ、うぉぉおおおおお!?」
カシラの足下からカシラ自身さえ吹き飛ばしてしまいそうな突風が吹き上げ、ばたばたばたッ! と纏められた黒髪が煽られる。
カシラが自分を吹き飛ばされないよう甲板に剣を突き刺して耐えていると、黒髪のカツラは突風に巻き上げられ、遥か彼方、雲の海へと吹っ飛んでいった。
代わって現れたのは、やや短めの豪奢な金髪。
そして俺は、ルーン全開のダッシュで隙だらけの男に駆け寄ると、先ほど見えていた目元と無精ヒゲの境目のたわみを引っつかみ。
全力を持って、その手を真下に落とした。
ビリィイイッ!
布の破けるような音を響かせ、無精ヒゲ、の付け髭は俺の足元、甲板へと落とされた。
その下から現れた顔は、どっからどう見ても、俺と同い年ぐらいの若人の顔で。
「……ウェールズ皇太子?」
いつの間にか隣に居たタバサの、ポツリと漏らしたそんな声が聞こえるまで、その場全体の空気は基本的に死んでいた。
赤くなった頬をさすっているカシラ=皇太子(仮)然り。
ようやく目を覚まし始めた、その辺に転がっていた空賊(仮)たち然り。
本当に取れるとは思っていなかった、この光景を作り出した俺然り。
――無事ギーシュによって救出されて船内なかから出てきたルイズ、キュルケ、ワルド然り、である。
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