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fate/vacant zero
白き空の国から
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 簡潔に。

 なんせこの世界でも使える身分といえば、今の俺にはそれか平民ぐらいしかない。



「使い魔だと?」

「そうだよ。それで、あんたらは何者なんだ?」


 同じ質問を、同じような口調で問い返す。



「俺たちか?」


 男は少しだけ考えるようなそぶりを見せると、にやっと笑ってこう続けた。



「なに、しがない空賊の一団さ。俺はその頭だよ」



 そういうカシラとやらの表情は、なんかこう、激しくガキくさい、爽やかな笑顔だった。

 ヒゲ面に似合わねえったらありゃしないが、なぜかその様子がしっくりと来るから不思議だ。

 それにしても、空賊か。



「ったく、人の仕事は邪魔するもんじゃねえぞ。おちおち休みも出来やしねえ」

「その言葉、そっくりそのまま返すぜ」


 俺とカシラは、そう言ってにやりと笑い合うと、次の瞬間にはガキャァッ! と耳障りな音を立てて、間近で鍔競つばぜり合っていた。



「ほう、速いな」

「そりゃ、どうも。それで、俺の主人は無事なんだろうな?」


 ぱっと距離を取り、三歩ほどの距離を空けて再び向かい合う。



「お前の主人だと? それは、あの貴族派の商凧しょうせんに乗っていた娘のことか?」


 すす、っとカシラが左へ動く。



「貴族派とやらはなんだか知らねえが、あいつの髪のピンク色は目立つからすぐに分かるだろうよ」


 それに合わせて、俺はその場で体の向きだけをカシラの方に向けなおし続ける。



「なるほど、それなら安心しておけ。あの貴族の娘なら、丁重に船倉に閉じ込めてあるからな」


 ぴたりと、カシラが動きを止めた。



「船倉、ね。あんたが負けたら、そこに案内しろ。いいか?」


 俺も、ぴたりと動きを止めて、体の横に垂らしたデルフを両手で握り締める。



「ああ、いいだろう。尤もっとも――」


 ……なんだ? また、なんかいやな空気が……



「お前に勝ちは、ねえだろうがな!」


 そう叫んだカシラが、剣を振り上――

 ! 違う、後ろか!?


 ば、っと体をデルフを持った方に反射的に放ると、さっきまで自分の立っていた床が、綺麗に陥没した。


 見れば、さっき膝を床についてたヤツが、悔しげな表情で崩れ落ちるのが目に入った。

 どうやらそれが最後の力だったらしく、再び"雲"に包まれたそいつは、杖を振るった手もそのままに、呆気なく崩れ落ちた。


 って、やばい!


 肝心のカシラの方に目をやれば、タバサが放っただろう"雲"の効果範囲の中で平然としなが
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