違和感の交錯
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また一人と『風』の魔法に吹き飛ばされていく。
「……やはり、傭兵などではこの程度か。俺も急ぐとしよう」
男は冷ややかにそう吐き捨てると、眼下に見える砕けたベランダ……その開け放たれたままの大窓へと飛び降りた。
そのまま空中でふわりと体を翻ひるがえし、身を縮め、音も無く絨毯じゅうたん張りの床に降り立った男は、気配を消しながら部屋から廊下へと駆け抜けていく。
「お前たちにアルビオンに来られては困るのだ。
この地で果ててもらうぞ、『神の盾ガンダールヴ』……若き騎士シュヴァリエともどもな」
静かに低く呟かれた男の目的は、誰の耳にも届くことなく、喧騒に包まれた夜の廊下へと溶け消えた。
元の時間へと捻り戻し、場所を入れ替え。
こちらは『桟橋』へ向かう、ワルドを先頭とした四人と一体。
とある建物の間の長い長い階段を駆け上る彼らは、遠く大きな残響音と、微かな地震を感知した。
最後尾をいくギーシュが一端立ち止まって後ろを振り向くと、街明かりに照らされ、闇にぼんやり浮かびあがっていたはずの岩人形ゴーレムが、いつの間にやら見えなくなっている。
それを確認すると、ギーシュは『戦乙女ワルキューレ』を供に、再び走り出した。
「どうやら、彼らは、うまくやった、ようだね」
「そうね。岩人形ゴーレムを倒せたなら、あとはもう心配いらないでしょ。フーケは一度、ダーリンが倒してることだし」
まったくだ、と息を切らしながらも相槌を打つギーシュ。
中ほどからでも泊まっていた宿を遠く見下ろせるほどに長い長い階段をひたすら登り、ようやく丘の上に辿り着いた。
そこでキュルケは、その幻想的な光景に思わず見惚れた。
月光に照らされた一本の巨大な樹が、星空を切り抜いて聳そびえたっている。
その枝は全方全周に満遍まんべんなく伸ばされ、その一つ一つから木の実のような何かが規則正しく並んでぶら下がっていた。
視線を地上に戻せば、隣で息を整えているルイズとギーシュ、ギーシュの隣で静かに佇む『戦乙女ワルキューレ』。
そして、樹の根元へと駆けていくワルドが見えた。
「この樹が目的地なのかしら」
「そうよ、ツェルプストーは港に来るのは初めて?
これが『桟橋』。上の方にぶら下がってるのが『凧フネ』よ」
誇らしげなルイズにいつものような嘲わらう視線を向けることもなく、キュルケはもう一度だけ上を見上げた。
頭上をびっしりと網目状に覆う枝、そこに吊り下がる凧フネの大群……。
「……すごいわね」
思わず圧倒され
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