違和感の交錯
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きっとシェルを鋭い視線で刺してみたが、にやにやとあっさり受け流された。
どうでもいいけど、タバサの顔でそんな表情すんな。
「……行ってくる」
襲い掛かる気恥ずかしさから逃げ出すようにして、俺は窓を乗り越えた。
正面には、何かの柱みたいに岩人形ゴーレムがぽつんと佇んでいる。
さて、肩までどうやって登ろうか?
見上げる岩人形ゴーレムは、前より少し小さいとはいえ、20メートルぐらいは越えてるんじゃなかろうか。
流石に、あそこまでジャンプするのは失敗した時がぺしゃったトマトになりそうでちょっと怖い。
そういえば、ベランダからなら会話が出来るくらい距離が近かったよな。
泊まってた部屋まで戻った方が早かったかとちょっと後悔するが、一端飛び出しておいてすぐ戻るってのも情けない。
どうしたものかと真上を見上げれば、背後の宿から突き出たベランダが、1、2、3段ほど目についた。
それらベランダに人の影がないのを確認して、軽く膝を曲げて跳びあがる。
少し勢いをつけすぎたのか中途半端に3階の床辺りまで跳びあがってしまった。
自由落下で落ちたりしないよう慌てて床に指をかけてほっと一息。
そのままベランダへと腕力だけで体を放り入れ、背中を打ち付けてのたうちまわって、ふと妙なことに気がついた。
これだけ隙だらけの姿を晒しまくっているにも関わらず、岩人形ゴーレムは攻撃はおろか、身動き一つしてこないのだ。
どうなってんだ、とフーケの座っているはずの肩へ再び視線を向ける。
おもわず顔がハニワみたいになった。
ナナメ35度ぐらいの仰角になった視線の先、岩人形ゴーレムの肩の上には、暗闇以外に何もない。
フーケの姿も、冷たい気配の仮面野郎の姿も、そこにはなかった。
時間は少し巻き戻り、だいたいタバサが『物真似人スキルニル』を自らの姿に変えた頃まで遡る。
巨大岩人形ゴーレムの肩に立つフーケは、宿の裏路地を駆けていく四人をきっちりとその双眸に捉えていた。
だんだんと遠ざかっていくその姿を目端に据えながら、隣に立つ仮面のポニーテール男と、最後の打ち合わせをする。
「予定通り、ってとこかしらね」
「ああ。予定通り、分散してくれたようだな」
「恥をかかされた原因の坊やが向こうに居ないのが残念だけどね。
これじゃあ、借りを返せそうにないじゃないの」
ふん、と腰に手を当て勢いよく溜め息をつくフーケ。
「では代わるか? 俺としてはその方
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