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fate/vacant zero
違和感の交錯
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vacant Zero

第十五章 違和感の交錯









 正直言ってもいいか。

 囮の意味、あったのか?



 そんな風についつい悩んでしまうぐらい、タバサとシェルの連携は手際が良かった。


 シェルが唱えた魔法は、その本体から飛び出した炎が地面に落ちた途端、長く尾を曳ひきながら勢いよく玄関の外へと突っ走り、物陰に隠れた傭兵連中を炙り出した。

 その炎に照らし出され焦がされかけた敵は、タバサが杖を振るう度、撃ち出される何かに殴り倒された。


 たぶん、俺が今朝ワルドから喰らった魔法みたいなモンだと思う。


 シェルが炙ってタバサが狙う、そんなガンシューティングじみた光景を、二人目掛けて飛んでいく矢を叩き落しながら眺めること、感覚でおよそ2分足らず。

 インスタント食品真っ青な速さで、俺は矢を避けたり殴ったりする必要が無くなった。



 最後まで意識を保てていた連中は、炎に撒かれて撤退したらしい。


 外に残っているのは、タバサに吹き飛ばされた時に打ち所が悪かったのか、気絶したまま放置されてるのが数人。

 そして、もう1体――



「なあ、アレはどうやって倒せばいいんだ?」


 窓から見えるアレゴーレムに警戒を向けながら、近くに寄ってきた二人のタバサに尋ねる。



「ああいうのは、術者を倒せば動かなくなるって相場は決まってんぜ?」


 シェルが、本体を手で回転させて弄びながら――目ぇ回したりしないのかどうかそれが問題だ――答えた。



 術者、ねぇ。

 アレゴーレムを動かしてるヤツって意味なら、フーケだろうけど。



「フーケなら、肩の上に居たよな……、なんでそこで二人して俺を見るんだ?」


 視線を二人の方へ向けてみれば、片方はいつもどおり、片方はにやにやとこっちを見つめてきていた。

 なに、その意味深な視線。


「精神力は、出来るだけ温存するべき」

「いつ傭兵どもが戻ってくるかわからねえからな。
 それにほれ、お前さん魔法使いメイジ相手の経験は少しでも多く欲しいんだろ?
 援護はしてやるから行ってこいや」


 そりゃ確かに、ここで魔法使いメイジと戦えるのはありがたいけど。

 でも、フーケって魔法使いメイジつーより人形使いみたいなもんなんじゃ





 ちょっとまて。



 なんでシェルがそれ知ってるんだ、ってそういやさっきタバサが懐から取り出してたな。

 まさか間違いなくしっかり聞いてやがったんだな、さっきの上での話。


 ……ってことはつまりひょっとして泣いてたのもばれてるのか!?
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