違和感の交錯
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か、やや緊張した声でギーシュが返事をする。
「そうか。……ちょうどいい、きみにも話しておこう。
きみは、今回の任務の内容は知っているんだったね」
「はい」
「船長の話によると、ニューカッスル付近に布陣していた王軍は既に陣を放棄し、篭城する段階にまで至ってしまったらしい。
ニューカッスルは、完全に包囲されて封鎖中だそうだ」
「では、皇太子殿下はニューカッスルの城に?」
ワルドは首を横に振る。
「それがわからないんだ。戦死の報が未だにないところを見ると、生きてはいるようだが……」
「しかし、王軍が既に篭城してしまっているということは、王党派に連絡を取るためには叛乱軍のど真ん中を突っ切る必要があるのではないですか?」
「そうなるだろうな。
港町や宿場町の類は、まず間違いなく反乱軍の手の内だ。スカボローからニューカッスルまで、馬で丸一日かかる」
「その間、もし見つかってしまったら……、そこで終わりですか」
「そうだ。まあ、反乱軍も公然と他国の貴族に手出しするようなバカな真似はせんだろうが……な。
どうにか隙を見つけて、包囲網をすり抜け、ニューカッスルに入城するほかない。夜の闇には注意せねばならんな」
「ですが、子爵。今回は獅鷲グリフォンがおりませんが、馬はもつのでしょうか?」
そうギーシュが尋ねると、ワルドは不敵に唇の端を吊り上げ、上を指差した。
つられて上を見上げると、ちょうど話をしていたその獅鷲グリフォンが、この凧フネ目掛けて着陸態勢に入るところだった。
周りで船員たちもそれに気付いたのか、しきりに驚いた声がそこかしこから聞こえてくる。
「この通り、僕の獅鷲グリフォンはもう来ているよ。何も問題はないさ」
なるほど。
しかし、そうなると……、ぼくはまた一日がかりで馬に揺られないといけないのかな?
そう考えると、今から憂鬱になれそうで。
考えを打ち切り、深く深く溜め息をついて、少しでも精神力を回復しておこうと、近くの船員に船室へと案内してもらうことにした。
そうでもしないと明日一日、気力を保てそうになかった。
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