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fate/vacant zero
違和感の交錯
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がでてきたのだ。

 そうであるなら、こちらとしても願ったり叶ったりだ。

 風石は高いのである。


 二人は頷き合うと、船長の方がワルドに向き直って頷いた。



「ならば結構で。料金ははずんでもらいますよ」


「積荷はなんだ?」

「硫黄イオウで。
 アルビオンに新しい秩序を建設なさっている貴族の方々は、いまや黄金並みの値段をつけてくださいますんで。
 新たな秩序の建設には、古き秩序の破壊が必要だそうでしてな」


「では、その運賃と同額を出そう」


 にまっ、と船長は何かをたくらんでいそうな笑いを浮かべた。

 商談も成立したことで、やる気が一気に引きあがったらしい。


 機敏な動きで近くに突き出た伝声管をひっつかむと、それに向かって思いっきり怒鳴りつけた。



「野郎ども、起きろ! 出港だ! 舫もやいを放て! 帆を打て!」





 それから30秒も立たない内に、どやどやと船員たちが甲板に上がってきた。

 彼らはよく訓練されているのだろう、叩き起こされたことに文句を言いながらも命令を忠実に、かつ滑なめらかに実行していった。


 凧フネを枝に繋ぎとめていた舫綱もやいづなは解き放たれ、マストによじ登った二人組たちにより三枚の横帆が張られる。

 空中を一瞬沈んだ凧フネはその皮翼で大気を叩き、発動した風石によるゆるやかな上昇軌道の強風が三つの帆をそれぞれ裏打ちした。

 それぞればっと広がって風を受けた帆と翼により、すっと凧フネは動き出した。



「アルビオンにはどの程度で着く?」

「向かい風にぶち当たらなければ明日の夜明けごろ、まあどんなに遅くとも昼前には間違いなくスカボローの港に着きまさぁ」


 そう話し合うワルドと船長。

 キュルケを船室へと運んでいく船員と、それに付き添うルイズを横目に、ギーシュは甲板の手すりに背を預けた。


 凧フネの後ろ、ぐんぐん遠ざかっていく『桟橋』の枝の隙間からは、ラ・ロシェールの街灯りが見える。



 ああ、ヴェルダンデ。

 無事だろうか。

 怪我はしていないだろうか。

 ちゃんと、彼らの手助けをしているだろうか?



 過保護としか言い様の無いほどに、己の使い魔ばかりを心配するギーシュだった。


 確かギーシュも精神力はそろそろ空になるんじゃないかというほど疲弊していた気がするのだが。

 そこはそれ、(偏)愛は肉体を超越するのだろう。多分。


 そんなギーシュに、船長との話を終えたワルドが話しかける。



「ギーシュくん、ルイズは中かい?」

「は、はい」


 相手が憧れの的であるため
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