違和感の交錯
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そりゃそうかと頷いて、タバサが助っ人と表現した理由に得心した。
ただでさえ頼もしいタバサが二人に増えるのだから、これは心強い。
「シェルを出したのはいいんだがよ、こっからどうすんだ? 娘っこ」
才人がしきりに頷いていると、右肩に担いだままだったデルフが口を開いた。
「敵を炙あぶり出す」
暗闇から矢を延々と撃たれ続けている現状では、こちらからの攻撃が有効打になりえない。
ならば、避け場もないほどの広範囲攻撃をするか、視認できる場所までおびきだすか、暗闇の中でも視認できるように照らせばいい。
それがタバサの要約された言い分だった。
「それで、嬢。今回俺は何をやりゃあいい?」
「『炎』」
「了解だ、嬢。三つ目だな」
「……あのー、俺はどうすればいいんでしょうかタバサさん?」
二人のやりとりから置いてきぼりにされた才人が声を出すと、ナイフを握った方のタバサシェルンノスから呆れた目で見られた。
しょうがないじゃねえか、こちとら素人なんだから。
「あなたは敵の狙いを惹きつけてくれればいい」
えーと。
それって、さっきみたいな感じでいいのか?
「いい。こちらを狙われると攻撃しにくい」
なるほど。
「相棒、できるだけ二人の射線上には入らねえようにしなよ。後ろから魔法にしばかれたくねえんならさ」
俺の呟きに、デルフがそう返してきた。
言われんでもそうするっての。
味方に攻撃なんかされたりしたらたまったもんじゃねえか。
それに、無理言って残らせてもらったのは俺なんだ。
邪魔なんかしちまったら申し訳ないにも程ってもんがあるだろう。
一頷きした俺はいつでも飛び出せるよう、前傾みに構えた。
「よし。それじゃ、始めていいか?」
タバサとシェルが頷いたのを横目に確認した。
あいかわらず雨の様に矢が射ち出されている、外の暗闇を見据えて低く呟く。
「……お前らがなんで俺たちを狙うのかは知らねえ。
さっきのもやもやした気持ちが何なのかも、正直よくわからねえ。
でも――」
隣で二つの同じ声が唱える同声異言の呪文を頼もしく感じながら、大きく息を吸い込んで、思いっきり思いの丈を叫んだ。
「俺はゼロのルイズあいつの使い魔だ! 指一本たりとも触れさせてたまるかよ!」
目一杯虚勢も張ったことだし、さあ逝くか。
昨夜ゆうべみたいな無様は、晒してやらねえぞ――!
Fate/
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