駆け抜ける街道
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白み始めた空と朝靄もやの中、才人は学院から借りた馬に鞍くらをつけていた。
背中にデルフリンガーを背負しょっているので、ルーン発動してない状態だと結構負担はかかっているのだが、そこは一応才人も男であるからして、けして顔には出さない。
意地ともいう。
ちなみに何故腰に差さないかと言うと、デルフリンガーが長すぎて一々地面にがつごつと当たってしまうのだ。
奇くしくも、以前に武器屋の親父から言われたとおりの形になったわけである。
傍ではルイズとギーシュが、同じように馬に鞍をつけている。
ギーシュはいつも通りのフリルシャツとズボン姿。
ルイズもいつもの制服姿だったが、前回王都トリスタニアまで遠乗りした時とは違って乗馬用のブーツを履いていた。
アルビオンとやらまでは、ここからどれぐらいかかるんだろうか?
俺は乗馬はこれが二回目で、かつ前回の距離ですら腰をイカレさした実績がある。
いったい今度はどこまで乗っていなければいけないのか、正直聞きたくもなければ考えたくもない。
聞いたところで何かが変わるわけでもないのだし、聞かないほうが絶望しないだけマシだろう。多分。
はぁ、と雰囲気を暗くしながら出発の準備を整えていると、ギーシュが困ったように言った。
「お願いがあるんだが……」
「なんだよ?」
鞍に荷物を括くくりつけながら、ギーシュを半眼で見やる。
昨夜さんざ蹴たぐってやったから多少は気が晴れたとはいえ、それでも親しくしてやるつもりにはなれない。
礼には礼を、挑発には挑発を、傷には傷を、っていうことだ。
右手砕かれた分があれで返せたとは思わない。
元々俺がぶん殴ったのが原因なんじゃ、なんて反論はもちろん受け付けない。
「ぼくの使い魔を連れて行きたいんだ」
「好きに連れてきゃいいじゃねえか。
……って、お前にも使い魔いたのか?」
「いるさ。当たり前だろ?」
そりゃそうか。
しかし、こいつの使い魔ってどんなヤツなんだろ。
こいつは気に食わんが、こいつの使い魔には興味がある。
「それで、そいつはどこにいるんだ?」
「ここにいるよ」
どれ、と辺りを見回してみるが、それらしき生き物は何も見当たらない。
「いないじゃないの」
隣で同じようにきょろきょろと首を回していたルイズが、乗馬鞭を片手に澄まして言った。
ギーシュはにやりと笑い、足で地面をとんとんと叩く。
するとギーシュの正面の地面がもこもこと盛り上がり、青色でト
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