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fate/vacant zero
駆け抜ける街道
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はどういうことだろうね。

 はぁ。


 ワルドは、呼び寄せたそいつにひらりと跨ると、ルイズに手招きした。



「おいで、ルイズ」


 ルイズはちょっと躊躇ためらうようにして、俯うつむいた。


 なんか激しく恋する少女に見えてGJグッジョブだ。

 GJだが、何故にこう腹が立つのか。


 ていうかおいでってなんだ。

 キザか。コイツもキザなのか。

 貴族はこんなんばっかりか。



 はぁぁ、と今までで一番長い溜め息を吐いて、黙ったまま自分の馬に跨った。

 ギーシュも、自分の馬に跨ったのが見えた。


 モールベアも丸まって、穴を掘る体勢になって……る、のかあれは?

 青い針玉にしか見えないんだが。アルマジロかこやつ。



 ルイズはしばらくもじもじしていたが、ワルドに抱きかかえられて、獅鷲グリフォンに跨った。

 そのまま、獅鷲グリフォンが駆け出した。


 ギーシュが感動した面持ちでそれに続く。


 モールベアもその場で回り始め、地面へと潜っていった。

 土を派手にばら撒きながら。


 それらを見やりながら、俺もこの憂鬱な旅路を逝くべく、肩を落として後に続いた。



 靄もやがかった空を見ながら、ぼんやりと考える。

 アルビオンとやらは、いったいどんぐらい離れてんだかね、と。







 アンリエッタは、そんな彼らを学院長室の窓から見つめていた。

 瞼まぶたを下ろし、手を胸の前に組んで祈る。



「彼女たちに、加護をお与えください。始祖ブリミルよ……」


 そんな彼女を、鼻毛を抜きながら見ている老人が一人。

 アンリエッタはその老人、オスマン老に向き直って尋ねる。



「見送らないのですか? オールド・オスマン」

「ほっほ、姫、見てのとおり、この老いぼれは鼻毛を抜いておりますでな」


 だめだこれは、と首を振るアンリエッタ。

 そのとき、扉がどんどんと強く叩かれた。



「入りなさい」


 オスマン老がそう呟くと、慌てた様子のミスタ・コルベールが部屋に飛び込んできた。



「いいいい、一大事ですぞ! オールド・オスマン!」

「きみはいつでも一大事ではないか。どうもきみはあわてんぼでいかん」


「そりゃ一大事の時しかここに来てないからです!
 ってそうじゃありません! 城からの急報です!
 チェルノボーグの牢獄から、フーケが脱獄したと!」


「なにげにひどいこと言うのう、君……」


 オスマン老が口ひげを弄りながら唸るが、コルベールはそれを無視した。

 話が進ま
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