駆け抜ける街道
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指差して言った。
ギーシュが深々と頭を下げるのを横目に見ながら、俺も軽く頭を下げる。
「きみがルイズの使い魔かい? まさか、人とは思わなかったな」
ワルドが、気さくにこっちへ近寄ってきた。
……ていうか、そういえばなんで俺はこんなにムカついてるんだ?
ルイズが誰の婚約者だったって、俺に関係なんかねぇだろうに。
はて、と首を捻っていると、ワルドが声をかけてきた。
「僕の婚約者がお世話になっているね」
「はぁ、そりゃどうも」
なんとなく、上から下まで眺め回してみる。
なんというか、一言感想を言うなら、こいつはかっこいい。
ギーシュとは違う意味で、ああ、こいつかっこいい。
フェロモンとでもいうか、落ち着いた感じというかアレだ、風格が離れていても漂ってくる。
鋭い目は鷹たかの様に光って、形のいい口ひげは男らしさを強調している。
何より、体つきが非常に逞たくましい。
魔法使いはギーシュみたくひょろひょろなヤツばかりかと思っていたが、そういうワケではないようだ。
正直、こいつとケンカしたら二秒ぐらいで捻ヒネられる自信がある。
んな自信いらねえけどさ。
勝てねえ、と本能で悟ってため息をついたら、ワルドはにっこりと笑ってぽんぽんと肩を叩いてきた。
「どうした? もしかして、アルビオンに行くのが怖いのかい?
なあに、何も怖いことなんかあるもんか!
君はあの『土塊』を捕まえたんだろう?
その勇気があれば、なんだって出来るさ!」
あっはっは、と豪傑的に笑うワルドに、なんだか悔しくなってしまった。
いかん、こいついいヤツだ。
これだけ勝てそうなところが何も見つからないと、どうも気分が萎なえてしまう。
ストレートに言うなら、自信無くすなぁ、ってことだ。
溜め息が止まらない。
ルイズはこいつと結婚するのか。
うん、似合いなんじゃねえかなぁ。
ははは。はぁ。
そのルイズの方を見てみれば、ワルドが現れてからというもの、ずっとそわそわしどおしだった。
はぁ、と顔を馬の方に向ける。
隣から、ぴーっ、と音がした。
ワルドの口笛のようだ。
それに合わせて、馬の向こう、朝靄もやの中から、鳥の頭と翼に、羽毛の生えた上半身、白い猫っぽい下半身という、キメラみたいな獣が現れた。
どうやら、こいつがさっき言ってた獅鷲グリフォンらしい。
すっげえな。
しかし、好奇心は刺激されたのに、いつもほどの元気が出てこないの
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