駆け抜ける街道
[15/15]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
なでなで。
「へ?」
なでなで。
「いや、へ?って……、違うって言うんなら、その右手はいったいなに?」
なでなで。
困惑と嫉妬を織り交ぜたような声でキュルケが続けた。
なでなで。
右手?
なでなで。
なんのこっちゃ、と右手に視線をやって、自分で硬直した。
なんか、タバサの頭の上に乗っかって、左右に揺れてるんですけど。
そういえば、さっき、途中から頭ん中で変な擬音が響いてたなぁ。
なでなで、とか。これか、原因。あははは。
――あははは、ぢゃねぇだろォオッ!!?
「す、すまんタバサ! なんか手が勝手に!」
秒未満で素立ち状態から土下座に持ち込んで平謝りする。
この挙動の速さ、使い魔生活の効果は伊達じゃねえな。なんも嬉しかねえが。
ルイズが激発しなかったのが不思議だったが、なんとなく理由はわかった。
多分、ワルドが止めてるんだろう。
ワルドの存在が、かもしれんけど。
「……別に、いい」
そう返事したタバサにより、またちょっと空気が固まったのは言うまでもない。
まあ、嬉しかったのは嬉しかったし、ありがたかったのもありがたかったんだけど。
どうすっかなぁ、と悩み見た道の向こう。
ラ・ロシェールの街の灯りが、どうしようもなく眩しく見えた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ