駆け抜ける街道
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へと投げ出される。
ギーシュも放り出されたらしく、隣に落ちてきた。
その音に紛れて、ひゅひゅっという風を切るような音が聞こえた。
「奇襲だ!」
ギーシュが喚いたとたん、カッと軽い音を響かせて矢が爪先から4センチぐらい離れたところに一本突き刺さったのが見えた。
早速かよ! とデルフを掴むが、引き抜く前に第二陣が飛んできた。
無数の矢が、こちらに向かって飛んでくる。
デルフで捌ききれるかどうかはわからねえが、やるしかない!
そう思い、デルフを引き抜き……、風が動き、正面の空気が歪み、小さな旋つむじ風が現れた。
ソレはこちらへと飛んできた矢を巻き込むと、ことごとく明後日の方向へと弾き飛ばしていく。
後ろを見やれば、獅鷲グリフォンに跨ったワルドが杖を掲げている。
今の竜巻モドキは、こいつの魔法らしい。
「大丈夫か!」
ワルドの声が、こちらに飛んできた。
「だ、大丈夫です……」
助けられた、という情けなさが膨らんでいき、劣等感をさらに煽ってくれた。
そのせいか、体がくたくたになっていることを少し思い出させられた。
デルフを掴んでいるから、ちっとは疲労も軽減されてるんだけどな。
「相棒、寂しかったぜ……。鞘に入れっぱなしはひでぇや」
当のデルフは、なんかそんな風にぼやいてるけどな。
「そんなに言うなら、鞘取っ払っちまうか?」
「そうしてくれ、是非」
そんな風に相槌を入れてやりながら崖の方を見つめたが、第三陣がいくら待っても飛んでこない。
「夜盗か山賊の類たぐいか?」
「もしかしたら、アルビオンの貴族の仕業かも……」
「だが貴族なら、弓は使わんだろう」
ワルドとルイズのそんな推測に満ちた会話や獅鷲グリフォンの唸り声に紛れて、なんだか聞き覚えのある音が聞こえた気がした。
こう、ばっさばっさと。
段々その音が大きくなってきて、思わずルイズやワルドと顔を見合わせた。
なんか、ごく最近聞いた気がする音だ。でっかい羽音。
それにかき消されるように聞こえる濁だみ声の群れは、崖の上から響いてきていて。
なんだあれは、とか聞こえたような気がする。
ひゅひゅひゅひゅ、と矢の風切り音も聞こえる。
こちらには飛んできていないので、狙いは多分羽音の主だろう。
音が止んですぐ、今度は崖の上に竜巻みたいなものが見えた。
あと、空を舞う男たちも。
「おや、『風』の魔法じゃないか」
そうワル
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