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fate/vacant zero
駆け抜ける街道
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?」

「あん? そりゃ、どーいう意味だよ?」


「そのままの意味に決まってるだろう? もしかして図星かい?」


 ニヤニヤがいっそう濃くなった。



「黙ってろ、鬱陶うっとうしい」

「く、くくく。ご主人様に、叶わぬ恋でも抱いたのかい?

 いやはや! 悪いことはいわないよ。身分の違う恋は不幸の元だぞ?
 しかし、君も哀れだな!」


「ちげえよ。なんだってあんな性格最悪なヤツを。俺が好きなのはな……」



 ……ん?


 俺が好きなのは……その後、なんて繋ぐんだ?



 はて? と体を預けたまま首を傾げていると、いつの間にか前を向いたギーシュが驚いた声をあげた。



「あ、キスしてる」


 なぬ!?


 ばっ、と前を向いた。

 目を凝らしてみたが、二人はキスなんぞしていない。


 ぷーっくすくすくすと声がしたのでそちらを見ると、ギーシュが笑いをこらえていた。


 軋む上半身を無理やり起こし、馬を少し加速させてやった。

 慌てた様子でついてきたギーシュを見やり、ざまぁ、と思いながら再び馬の背に倒れこんだ。









 馬を幾度となく替えて飛ばしてきたお蔭で、なんとか日が変わる前にはラ・ロシェールの入り口に着いた。

 と、ワルドは告げたんだが。


 左を見ても、右を見ても、前を見ても、どっからどうみてもここは山道だ。



 港町、っていうからには海が近くないと変なんじゃねえかと思うんだが。

 この山の向こうが海、なんだろうか?


 そう思ってしばらくの間、険しい岩山を縫うように進んでたんだが。

 遠く道の向こう、崖に挟まれるように佇む、岩から削りだしたみたいな街の灯りを見る限り、それは無さそうだった。



「なんで港町なのに山なんだよ?」

「きみは、アルビオンを知らないのか?」


 独り言のつもりだったんだが、間髪入れずにギーシュが呆れた声で返事してきた。

 なんか、この道中ですっかり馴染んじまったなぁ、このやりとり。



「知らねえよ」

「まさか!」


 ギーシュは一笑にふしたが、笑い事じゃないんだよな。



「ここの常識を、俺の常識と思ってもらっちゃ困るぞ」


 そう言った時だった。



 突然、崖の上からこっちに目掛けて、火の点いた松明たいまつが何本も投げ込まれた。

 地面からの灯りに、俺たちの姿が照らし出される。


 って冷静に見てる場合じゃねえ!



「なんだ!?」


 乗っていた馬がいきなり前足を高々と振り上げ、その拍子に体が地面
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