第二部
風の驚詩曲
乳姉妹の憂鬱
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とはなしにデルフの柄に手を掛け、ルイズが扉を開くのを待つ。
はたして扉の向こうに待っていたのは、真っ黒な頭巾フードをすっぽりと被った、一人の少女だった。
わずかにルイズより背が高く見えるその少女は、辺りを窺うように首を回すと、そそくさと部屋に入って後ろ手に扉を閉めた。
「あなたは……」
目を見開いたルイズが呟こうとすると、少女は口元に人指し指を立てた。
知り合いなのか? と見るからに怪しいその少女を訝しんでいると、少女は頭巾フードと同じ黒いマントの隙間から短い杖を取り出し、さっと振った。
杖の先から振り撒かれる緑色の光の粉が、部屋中に拡散していく。
「……『探査サーチ』?」
「どこに耳や目が光っているか、わかりませんからね」
その光の粉が消えた頃、一頷きした少女が頭巾フードを外した。
「やはり、姫殿下!」
叫んだルイズが、忘れていたと言わんばかりの速さで膝を着いた。
その少女の顔は、遠目だったとはいえど見紛う事なき、昼に学院を訪れた王女さまのものだった。
「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ」
才人はどう反応していいものかもわからず、デルフの柄に手を掛けたまま、扉の脇で固まっていた。
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